ちゅどぉぉぉん「MCVさすが」「10TKもいいねぇ」 マニアックガイド:「富士総火演」のたしなみ方(3/4 ページ)
注目はMCVにAAV7だけれど、やっぱり10TKもいいねえ【写真94枚】
99式自走155ミリりゅう弾砲(99HSP)
「99式自走155ミリりゅう弾砲(99HSP)」は、履帯があって砲塔“らしき”ものがあるので「もしかして戦車?」と思う人も多かったりしますが少し違います。実は自分で走れる大砲ということで「自走砲」という種類の軍用車両です。
……と説明すると「ん? それは戦車も同じじゃない。自走砲って何が違うの」と聞かれることは多々あります。「戦車は戦車と戦うことが目的だけれど、自走砲は戦車と戦うことはあまり考えていない」という辺りが違いの答えになります。
戦車同士の戦いは直接顔を合わせてボコボコに殴り合うので、素早く動けないといけませんし、撃たれても耐えられるように装甲もある程度厚くなければなりません。そうなると、大砲はあまり大きなものを載せられません。
対して自走砲は、遠く離れたところから撃つのが目的。しかも「戦車単体」というよりは「あの地域を全部打ち払っちゃう」という豪快な撃ち方になります。俊敏に動く必要はなく、砲塔を戦車のように左右に回す必要もありません。敵から直接攻撃されることも少ないので、装甲もそれほど厚くする必要はありません。
ですから「でっかい大砲」を載せることができます。99式自走155ミリりゅう弾砲は名前の通り52口径155ミリという10式戦車より大きな大砲を載せて、最大30キロ先まで毎分6発のペースで砲撃できます。
155ミリりゅう弾砲 FH70(FH70)
「155ミリりゅう弾砲 FH70(FH70)」は、39口径155ミリという10式戦車より大きな大砲で、通常弾なら24キロ先、お尻から火を噴いて飛んでいく噴進弾(ロケット弾)ならば30キロ先を砲撃できます。
通常、砲撃実施位置までの移動はトラックのような専用の「中砲けん引車」に引かれていき、砲撃位置に固定して砲撃を実施します。ただし同じ場所で砲撃を続けていると敵の反撃を受けやすくなるので、砲撃位置を変更する必要が出てきます。
このときに前述した自走砲ならば自分で移動できますが、155ミリりゅう弾砲 FH70は折りたたんでから中砲けん引車で引いていかなければなりません。……ですがですよ、実は近距離の低速移動ならば折りたたんだ状態で自走できるのだそうです。
中距離多目的誘導弾(新中MAT)、01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)、12式地対艦誘導弾
「中距離多目的誘導弾(新中MAT)」「01式軽対戦車誘導弾(軽MAT)」「12式地対艦誘導弾」は、最新式ミサイルシステムで、対戦車と対上陸舟艇として運用する予定です。しかし、対人と対陣地攻撃にも使用可能といわれています。
ミサイルを目標まで誘導には、ミサイルに取り付けた赤外線カメラで認識した画像を使う方法(赤外線画像誘導)と、別の照準器から目標に当てて跳ね返ってきたレーザーを使う方法(セミアクティブレーダーホーミング)を併用できます。
01式軽対戦車誘導弾も赤外線画像誘導方式。発射したらあとは誘導弾が目標が発する赤外線を目指して勝手に飛んでいきます。最後の12式地対艦誘導弾は、敵の大型揚陸艦船を攻撃する対艦ミサイルですね。2016年から作戦部隊への配備が始まりました。
92式地雷原処理車(MBRS)
「92式地雷原処理車(MBRS)」は、92式地雷原処理用ロケット弾を搭載運用できる履帯を備えた車両です。地雷原処理用ロケット弾は空中からたくさんの爆薬(92式の場合は26個)を地雷原に直線状にばらまいて起爆することで、地雷も一緒に爆発させて安全な通路を確保します。
AH-1S、OH-60D
陸上自衛隊が保有する攻撃ヘリコプターの最新型は「AH-64D」ですが、今回の総火演には旧式の「AH-1S」が姿を見せていました。
AH-1Sは1967年に制式採用、陸上自衛隊導入は1978年とかなり昔からあるベテランヘリです。しかし、陸上自衛隊で後継機種として予定していた「AH-64D」が少数で調達が終了したために、依然として主力攻撃ヘリコプターにとどまざるを得ない状況にあります。
もう1つの観測ヘリコプター「OH-6D」は見た目は地味(そして、なにげに古い)ですが、戦況把握と部隊運用にとって最も重要な役割を果たしています。
UH-60JA
「UH-60JA」は、いかつい姿から一見「戦闘用ヘリ?」と思われそうですが、完全武装歩兵11人(分隊相当)を輸送できる空挺作戦向けの輸送ヘリコプターです。米軍での制式採用は1979年(陸上自衛隊導入開始は1995年)とこちらも意外と古い機体です。
CH-47J/JA
「CH-47J/JA」は回転翼を前後に2基取り付けた大型の輸送ヘリコプターです。
米軍制式採用は1962年。ベトナム戦争からの長い歴史を持ちつつ、改良を重ねながら2018年現在も生産が続いている息の長いモデルです。10トンを超える輸送能力を持ち、高機動車ならば機体内に収容も可能です。
いかがだったでしょうか。ほんのちょっとだけマニアックで濃い記述があったかもしれませんが、実はここがファンであるがゆえの楽しみ方の1つ。見学しながらこんなことを思っていたり、同行した知人と会話したりしているのです。
「あ、ちょっと面白そう」「すごいなこりゃ」と感じていただけたならば、来年2019年度の総火演にはぜひ。毎回人気なので応募倍率はかなり高いですけれど……楽しいですよ!
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