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彼女はおしゃべりしながら俺にフルコン入れてきてつらい 「ハイスコアガール」10話(1/2 ページ)

少女を強くしたのは、恋心。

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ハイスコアガール (C)Rensuke Oshikiri/SQUARE ENIX

 ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作アニメは、当時を経験していた人も、そうではないゲーム好きも、そしてかつて子どもだった全ての大人が、共感できる悩みをたくさん練り込んだ作品です。

 受験勉強のためにゲームから離れていたハルオ。一方でゲームができなかったはずの小春が、大進化を遂げ始めていた……。


ハイスコアガール


今回のあらすじ

 自分が大野晶と一緒にいたいことに気付き、同じ高校に行くため猛勉強をしたハルオ。しかし現実は残酷、ハルオは落ちてしまった。

 彼の元に遊びに来たのは、別の学校に進学した日高小春。彼女は今までほとんどゲームをやっていなかったため、ゲーマーのハルオから見たらド初心者、のはずだった。ところが小春とゲーセンで対戦したところ、得意だったはずの格ゲーでことごとく負けてしまう

 こんな腕前では大野に合わせる顔がない……と絶望しかけるハルオは、ゲーマー魂を取り戻すために必死になりはじめる。


ハイスコアガール 「ほへー」「構いません事よ」の笑顔の浮かれっぷり、かわいい!(4巻P41)

小春の猛練習

 小春の恋心がものすごいパワーを生んでいるのが見られる10話でした。

 確かに中学時代、小春はそもそもゲームに興味がなく、ガチャプレイの初心者だったのは事実。しかしザンギエフの頭突きで的確に相手を撃墜するなど、反射神経と感覚的プレイに優れていた、ゲームの才能を秘めていた子です。ハルオがゲーセンに行かないうちに練習を重ねたことで、ものすごい強さを誇るようになりました。


ハイスコアガール 小春の「見る目」がかなり育っています(4巻P12)

 受験に失敗してから、ゲーセンに行かなかったハルオ。それに対して、今まであまりゲーセンに肯定的じゃなかった小春が「私が最近よく行くんだもん……」と発言。

 90年代中盤以降、対戦格闘ゲームブームで確かに「不良のたまり場」的ゲーセンの空気は薄くなっていきました。でも女の子1人で行くのはまだまだハードルが高い。常連の大野でも浮くくらい。内気で自分からやりたいことを選択できなかった小春が、バリバリゲーセンに1人で行くって、すさまじい度胸です。

 「矢口君が大喜びしそうなモノがどんどん出てるのに……」

 ゲーム知識がなくて何が何だか、みたいだった彼女が、アーケードゲームの基礎知識を身に着けている! ゲーメスト読んでるなこれは!

 格ゲーは知識センス(感覚)反復練習読み合いなどが大事。どうやら彼女は、全てをこっそり身につけていた様子。気付けばガチ勢です。


ハイスコアガール 恋のために修羅と化した小春(4巻P48) (C)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 彼女がガチゲーマーへの道を歩み始めたのは、ハルオの気を引くためでした。ゲームをやっていない時の小春は、ハルオから見たら一塊の友人でしかない。自分だけを見てくれることはなかった。

 彼を打ち負かすほどのゲーマーになればいい。そうすればハルオは、自分に何が何でも勝とうとしてくるはず。真剣に自分に意識を寄せてくれるはず。乙女心が火を吹いた。


小春がどううまいのか解説

 いくら腕が鈍ったとはいえ、ハルオがフルボッコにされるほど強くなった小春。彼女のうまさはプレイ内容を見ると分かります。


ハイスコアガール 感覚で操作するのが難しいフォボス(4巻P18) (C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 「ヴァンパイアハンター」フォボスは、かなり強い方ではあるのですが、操作に事前知識が必要なトリッキーキャラ。ジャンプでの挙動が変わっていて感覚的には動かしづらい、通常技がクセだらけ、ガードキャンセルは特殊。ガチャプレイでは勝てない。

 小春はきっちりコンボルートをマスターして入れている。フォボスの生命線であるコンフュージョナー(当てると相手を空中に浮かせて無防備にさせることができる)からのコンボは逃さない。

 フォボスだと、ハルオが使っているビシャモンの刀をつぶしづらいので、キャラ相性的にはどちらかというと不利。ですがそんなのを全く感じさせない、しっかりした知識量と練習量で裏付けされたプレイを見せつけます。


ハイスコアガール これは本当にすごいんですよ!(4巻P44) (C)SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.

 「真SAMURAI SPIRITS 覇王丸地獄変」ナインハルト・ズィーガーも、クセのあるキャラ。基本的にはシオマネキのような腕で殴りつつ、多段攻撃の「ヴルカーン」を出してゴリゴリ削るのが得意。

 彼には通称「コップ三段」と呼ばれる高ダメージ必殺技があります。それが小春の入れている、ティーガー・コップ→ファルケ・ナーゲル→エレファント・グリード

 これはコマンド入れたら成立するというものではなく、タイミングをしっかりあわせて三段出さないと、空振りしてスキだらけになるという、ハイリスクハイリターンな技。もちろんコップをガードされると反撃確定(しかも立ちガード可能)。一撃で死にかけるサムスピシリーズでは、全神経を集中させないといけないタイプの技です。

 少なくともおしゃべりしながら出すようなものじゃない。どんだけ練習したんだ!

 10話の序盤で、小春がいろいろな男子生徒に告白されている話題が出ています。中学校では目立たなかった彼女が、そのくらい垢抜けはじめた。

 彼女が明るくなったのは、ハルオが好きだからだけでなく、ゲームをやりこんで自信がついたからかもしれない。なんせここまで格ゲーできるってことは、それだけゲーセンで対人戦をやって勝っているはず。それってもう、「ゲームが好き」って言っていいよね。


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