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「自分の好きなものをやりたいだけ」 「水曜日のダウンタウン」の企画がヤバいのは演出の藤井健太郎がヤバいから説(3/4 ページ)

「笑える番組って基本的には攻めてるものじゃないですか?」

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―― 番組が始まるとき、「攻めていこう」というような姿勢で始めたわけではないんですか。

藤井: いや、全く無いですね。別に攻めているとも思っていないですし、面白いと思うものをやっていたらそう言われることもあるだけで。別に普段からそうしようと思っているわけではないです。

―― あくまでも面白いものを追求しているんですね。

藤井: 面白いもの、自分の好きなものをやりたいというだけじゃないですかね。……でも攻めているという表現をあえて使うのであれば、笑える番組って基本的には攻めてるものなんじゃないですか? 昔だって一番笑える面白い番組は、その時代には「刺激が強い」と言われてた気がしますけどね。ほぼイコールなんじゃないですか。あとは新しいことですよね。新しいパターンのまだ誰もやっていないことをやれば、当然、怒られる可能性があったり思いもよらぬ反応が返ってくる可能性はある。

―― 影響を受けた番組はありますか?

藤井: 子どものころは「元気が出るテレビ」が好きでした。単純に面白かった番組という意味では「ごっつええ感じ」が過去No.1だと思います。ただコントがメインだし、芸人さんのものという感じがするじゃないですか。“番組作りの面白さ”という部分に目が行ったのは「電波少年」ですね。「ごっつええ感じ」は出演者自体が面白いという感じですけど、「電波少年」は裏方が面白くしているっていう感じがありました。

―― 「水曜日のダウンタウン」では、番組ロゴやオープニング映像も特徴的ですよね。音楽の面でも「PUNPEE」(パンピー)さんを起用したり。

藤井: 面白いことが最重要なんで、別にカッコよくなくてもいいんですけど、ダサいのはよくないと思うんですよね。極端にダサかったら面白さも削がれちゃうと思います。あとは、番組の中身もそうですけど、できれば他でやってないことをやりたいじゃないですか。

 ビジュアル的に優れた番組はやっぱり好きなんですけど、でも昔から、ダウンタウンさんとか松本さんの番組はビジュアル面も優れているものが多いですよね。フジテレビの「一人ごっつ」「IPPONグランプリ」「すべらない話」とか、今だったらAmazonの「ドキュメンタル」もそうですけど、「面白くてカッコいいのが最高だな」っていうのはありますよね。


水曜日のダウンタウン

―― オープニングでいうと、スペシャルの時に曲を変えたり、いろいろな仕込みを入れていますよね。

藤井: そうですね。基本は前のスペシャルからそのスペシャルまでの間のことをネタにして落とし込んでいますね。僕とPUNPEEくんの共作じゃないですけど、彼がリリックを書くときにうまく入れ込んでくれることもあるし、僕からアイデアを出すこともあるし、という感じですかね。

―― オープニングの音楽ではなぜPUNPEEさんを起用したんですか?

藤井: 単純に音楽的に好きだったからというのと、あとは、合いそうだなと思ったというか、ああいうナードな感じと、多趣味な感じとか、歌詞に込めるユーモアとかが自分と感覚的に合いそうだと思ったからというか。同じヒップホップでも不良性が強いものはバラエティ番組とは相性が悪そうじゃないですか。最初はナレーションまでやってもらおうと思ったんですけどね。

―― え、そうなんですか?

藤井: こんなにVTRの割合が増えるとも思ってなかったんで、少ない分量のナレーションだったらいいかなと思ったんですけど。たくさんのナレーションを読むのはプロのナレーターさんじゃないと厳しい面も多いんですけど、ポイントでしかナレーションを使わない番組だったら新しいことをやるほうがいいかなぁと。一回本人にチラっとやってみてもらったときにあまりハマりがよくなかったのと、VTRの量も増えていったんで結局なくなったんですが。



「オンエアではカットだけど」というノリの部分を本当にカットする

―― ナレーションでいうと、VTR中のほんのちょっとしたナレーションの一言が面白かったり、浜田さんが漢字の「枯渇」を読めなかった様子をそのまま放送したり、他の番組にはない面白さがあるなと感じます。藤井さんのツイートにもありましたが、普通MCが漢字を読み間違えたりしたら、普通は撮り直すものなんですよね。

藤井: それは、僕というよりは浜田さんの問題ですけど、いい意味でカッコつけないというか。「あそこ切っといてくれ」とも言われなかったですし、撮り直しも要求されなかったので。

―― そんな理由なんですか(笑)。

藤井: あのミスがしっかり笑いになってるじゃないですか。「だせえと思われるよりも、笑いが生まれたということをちゃんと優先するんだな。カッコいいな」とは思いますけどね。ああいうときに「切っといて」と言うタレントさんもやっぱりいますから。

―― 「水曜日のダウンタウン」では、VTRの内容についてスタジオでツッコむというシーンも多いですが、あれはやはりダウンタウンのお二人への信頼というか……。

藤井: もちろんそうですよ、「拾ってくれるだろうな」と思って、ツッコミなしでは成立しないようなネタもVTRに入れてます。いい素材を渡せば必ず笑いに変えてくれるという信頼はあります。


水曜日のダウンタウン

―― 「VTRでボケる」のはあまり他の番組で見ないような演出だなと思うんですけど、藤井さんの中で独自の演出をするときの基準のようなものはあるんですか?

藤井: 自分の面白いと思った部分をチョイスしているだけですけど……あぁ、「他でやってないからやろうかな」というのはありますね。例えば、バラエティで「オンエアでは今のとこカットだけどね」みたいなノリってあるじゃないですか、でも「あれカットだけどね」発言をオンエアするときは、当然「カットする」って言った当該の部分もオンエアしてるじゃないですか。

 だから、そんなテレビのあるあるを逆手に取ってというか、本当に切るパターンも何回かやったことありますね。ハンバーグ師匠のネタを切ったのは、スピードワゴンの井戸田さんがプレゼンターとして登場して、ハンバーグ師匠でひとネタやったあと、卓に置いた帽子を「あ、それ繋がらなくなるからどかしといて」ってダウンタウンさんに言われたときですね。「切られてる想定の話」をするのは本当は「切らないのを想定して逆算した話」じゃないですか。そこを本当に切るというのは1個裏をかいているというか。あんまり他で見たことないですね。

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