英国の兵器産業メーカー「BAEシステムズ」が、最新技術を搭載した次世代戦車「ブラックナイト」を発表しました。
ブラックナイトは英国の主力戦車「チャレンジャー2」をベースに開発されました。チャレンジャー2は、1990年代に入ってチャレンジャー1に代わる英国の新たな主力戦車として登場した戦車。英国は2035年まで運用する方針を掲げていますが、少しばかり時代遅れの戦車になりつつあり、近代化改修の必要性が議論されてきました。
そこでBAEシステムズが中心となって組織されたチャレンジャー2の延命案を検討するチーム「チーム・チャレンジャー2」によって考案されたのが、今回発表された夜間戦闘に重点を置いたブラックナイト(Black Night)です。
特徴的なのは独立した2つの「目」を持つこと。車両の前後に赤外線と熱源感知による監視装置が搭載されており、高感度カメラが映し出す鮮明な映像によって、視界の悪い夜間において隙のない監視体制の構築に期待できます。
元となっているチャレンジャー2にも夜間戦闘に対応する装備は一通りそろっていましたが、そこを強化することで、砲手が目として使っている状況であっても、車長がもう1つの目を使って周囲を警戒するといった目と目の連携によって、攻守を両立した運用に期待できそうです。
ブラックナイトには対戦車ミサイルなどの脅威に対して着弾する前に爆破処理する迎撃システム「アクティブプロテクションシステム」、照準レーザーを検知したときに発信源に機銃の銃口を向ける自動制御システム「レーザーワーニングシステム」のほか、砲塔の旋回をスムーズかつ省エネルギーで行える制御システムなど、既存のチャレンジャー2を凌駕する装備が満載となっています。
このブラックナイトは技術デモとして作られたサンプルモデルであり、9月に開催された兵器産業の見本市「DVD2018」でお披露目されたばかり。英国による正式な採用はいまのところ決まっていませんが、有力候補であることは間違いないでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.