アダルトビデオ業界団体が違法動画紹介するまとめサイト4000件に警告文送付へ 悪質サイトには損害賠償請求も(2/2 ページ)
メーカー側は「出演者のプライバシーを十分に確保できないことも違法アップロードの大きな問題の一つ」と苦しい胸の内を語りました。
業界団体がまとめサイトへ求めること
――今回の通知書を送ることになったきっかけを教えてください。
AVCMO:これまでは広告代理店や違法動画サイトに対してメーカーが個別に対応を行ってきましたが、自社のコンテンツをおのおのが検知するのは極めて困難で、対応にも限界がありました。そこで、まずは影響力が大きく、かつ、運営者の特定や連絡が容易なまとめサイト(リーチサイト)に業界団体として対応を求めることとしました。
――このタイミングで動き始めたのには何か理由があるのでしょうか。
AVCMO:「アダルト動画著作権管理組織(AVCMO)」に29のメーカーが賛同し、本格的に違法アダルトまとめサイトの撲滅へ向けて動き出せる体制が整ったことや、来年度の通常国会で「リーチサイト」を規制するための法案が提出される見通しであることが主な理由になります。
――まとめサイト側に送る通知書の中身について詳しく教えてください。
AVCMO:まず通知書はAVCMOに協力する弁護士に指導してもらって作成したものです。具体的な内容としては「著作権を侵害して動画配信サイトにアップロードされている動画をエンベッド(埋め込み)、もしくは、リンクをすることにより、第三者に視聴させる行為(知情エンベッド行為)が、著作権(公衆送信権)侵害のほう助等にあたる」と説明したうえで、損害賠償請求及び刑事処罰の対象になりえる可能性があるとお知らせするものです。一方でこれまでまとめサイト側が長年行ってきたサイト運営状況や事情もあるかと思うので、いったんお互い連絡を取り合いましょうというのが今回の通知書の意図です。
――連絡を取って損害賠償請求をされたら……と尻込みしてしまうサイト運営者もいるのではないでしょうか。
AVCMO:連絡がない場合については、サーバ会社や広告代理店に照会して、口座情報や運営者情報を特定したうえでの損害賠償請求等を検討せざるを言えませんが、きちんと話し合える場合は、まとめサイト側をないがしろにしようという意図はありません。
――ないがしろにしないというのは。
AVCMO:メーカーから許可を受けた動画のみ掲載している、合法なアダルト動画サイト(無料視聴可能)を作っているので、今後は無断転載動画ではなく、そちらの動画を紹介するようにしてもらうという形を提案しようと思っています。メーカーとして無断転載はこれまで通り認めることはできませんが、メーカー側に協力してくれる関係性を持てればと考えています。具体的には、メーカー側が認可したサイトのパートナー会員になってもらえるよう、規約などを説明していく考えです。
――該当のサイトを見てみると、30分や45分などかなり長い分数作品を視聴することができるんですね。
AVCMO:上がっている動画は正規作品ですし、18歳以上なら誰でも無料というコンテンツでなので、安心して視聴していただけると思います。現在、7000作品程度(※)の視聴が可能です。毎月1600本のペースで動画が増えており、2019年にはさらに15メーカーの参入が決定しているので、毎月3000本のペースで動画が増えていきます。
(※)サイト管理画面上の本数が7000作品とのこと。
――今回はまずまとめサイト側への対応とのことですが、最後に今後の対策について教えてください。
AVCMO:まとめサイト約4000件に対して通知書を送付しつつ、違法動画サイトについても対応を進める予定です。中でもアップロードサイトを装いながら、運営者自身が動画をアップロードしていると疑われる悪質なサイト「S」に対しては、メーカーから「1本あたり2000万円×数百件」という莫大な被害額の申告がありました。「S」を含む悪質なサイトについては既にHTMLをはじめ、違法行為の証拠をそろえてあるので、厳しい対応を検討しています。
いくつかのアダルトまとめサイトについては、法人が運営していると発覚しており、表向きはWebデザイン会社として営業し、裏ではアダルトまとめサイトの更新を行っているというケースもありました。また「違法コンテンツを排除する」としていた広告代理店が現在も違法アダルトコンテンツを有するサイトに対して広告配信技術を提供している可能性も高く、新たな問題が浮き彫りとなりました。今後もねとらぼでは違法コンテンツ問題の取材を続けたいと考えています。
(Kikka)
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