セガ・インタラクティブおよびC2プレパラート(以下、「艦これAC」運営)が「艦これアーケード」等に対する権利侵害を理由に「アビス・ホライズン」の日本国内での配信等の差し止めを求めていた裁判(関連記事)。「艦これAC」運営は1月11日、「アビス・ホライズン」を運営するMorningTec Japanより配信/運営から撤退するとの告知があったことを受けて、申し立てを取り下げるとの声明を公式サイトに掲載しました。
「艦これAC」運営によると、2018年12月19日に東京地方裁判所で行われた審尋期日において、MorningTec Japanから2018年12月31日をもって撤退するとの告知があったとのこと。これを受けて「艦これAC」運営は「当社らは申立ての当初目的を達成したと判断し、MorningTec Japan株式会社が実際に撤退したことが確認でき次第、同社に対して行った申立てを取り下げる予定です」と表明しました。
ところが、この声明から間もなくして、「アビス・ホライズン」側は公式Twitterで仮処分申請が取り下げ予定のため、「アビス・ホライズン」は引き続き日本国内で法を厳守して運営事業を継続すると発表しました。
一見双方の主張が矛盾するように見えますが、アプリストア上で確認すると「アビス・ホライズン」の配信元はMorningTec JapanからY.Y.Global.Limitedに変更されており、確かにMorningTec Japanが「アビス・ホライズン」の運営から撤退する予定である、あるいは既に撤退していることが伺えます。
「艦これAC」運営側の声明ではMorningTec Japanの撤退が確認でき次第、申し立てを取り下げるとしているため、MorningTec Japanが「アビス・ホライズン」を他社(=Y.Y.Global.Limited)に移譲しているのであれば、ある意味矛盾にはなりません。しかし仮にそうであっても、「艦これAC」運営側の当初の目的である「アビス・ホライズン」の配信等差し止め要求からは外れている印象が否めません。
「艦これAC」運営側が、「アビス・ホライズン」が運営会社変更の上、配信継続されることを知った上で取り下げの意向を表明したのかは気になるところ。「アビス・ホライズン」側はTwitterで、近日中に本件についての詳細を告知予定であるとしており、今後の双方の動向に注目が集まります。
「アビス・ホライズン」側は運営会社をユーザーに無断で変更か
「アビス・ホライズン」の運営会社が別会社に変更されているのであれば、別の問題も生じます。運営会社が突然変更になると、ユーザーは前の運営会社としか利用規約の同意を交わしていない状態に。ユーザー側が返金などを求めるトラブルが発生した際に、現運営元とは何の契約も交わしていないことになり、要求に応じてもらえない可能性もあります。
実際2018年4月には、スマートフォン用ゲーム「THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH Online(KOF98 UM OL)」のガチャ不当表示を巡り、ユーザーが運営会社への訴訟を起こしたものの、当該企業がアプリの運営主体ではなかったため、返金が叶わなかったという事例があります(関連記事)。
本記事執筆時点で「アビス・ホライズン」公式サイトやゲームアプリ(iOS版)の利用規約では、運営元はMorningTec Japanであると明記されています。
【1月13日追記】「アビス・ホライズン」側からの声明が発表されました
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