化物と少女の物語「ニクノテガミ」が、語彙力を失うほど感動すると話題です。捕食する側と捕食される側、本来仲良くなってはいけない2人が迎える結末に、涙が止まりません。
人を殺すことで観客を楽しませている化物がいました。化物はオーナーから生きた人間を“エサ”として与えられながら、檻につながれて生きている、いわば奴隷でした。この日与えられた“エサ”は、ニコニコと笑ういたいけな少女。しかし化物は容赦なく武器を振り落とし、捕食します。ところがこの少女、あっという間に生き返ったのです。何度殺しても生き返り、そのたびにニコニコと笑って見せるのでした。
少女は何かを話しかけますが、化物は耳をつぶされて何も聞こえません。そこで紙とペンで言葉を教え始めました。「アナタ」「ワタシ」のような単語と簡単な文章を教え、意思の疎通ができるように。もちろん化物の“エサ”としての役割は変わりありません。それでも二人の関係は確実に変化し、化物自身にも変化が。観客の前で人を殺すことをやめてしまったのです。
その日、少女は床に落ちていた花のことを教えるように、壁に自らの血を使って「キレイ」「ハナ」と書いて檻から出ていきました。化物はそこに「サヨナラ」と書かれていることに気付きます。荷馬車にいる少女と新たな“エサ”の存在、それが「サヨナラ」の意味を教えてくれました。化物は鎖を引きちぎり、昼も夜も問わず体がボロボロになっても少女を追いかけるのでした。
ついに見つけた荷馬車に駆け寄ると、いつもニコニコしていた少女が涙を流して手を伸ばしてきます。しかしその横からは化物に向かって拳銃が一直線に伸びています。なんとか少女に紙を渡すと、化物はその場に倒れるのでした。化物は少女にどうしても「ハナ ヨリ キレイ アナタ」と伝えたかったのでした。それは人を殺すことしかできなかった化物からの、せいいっぱいの愛の告白だったのではないでしょうか。
人間のことを殺して食べる対象としてしか思ってなかったのに、死なない少女と触れ合うことで、誰かを大切に思う心を手に入れることができた化物。悲しい結末ではありますが、思い残すことのない最期を迎えることができたことは、彼にとっては幸せだったのかもしれません。
この作品には「グッときた」「いい話」「泣いた」など、多くの感動を呼んでいます。また、この死なない少女は漫画の作者TNSK(@tnsk)さんのオリジナルキャラクター「高木さん」ということもあり、今までの作風とのあまりの違いに「高木さんに泣かされるなんて」などのリプライも寄せられています。
作者のTNSK(@tnsk)さんは現在good!アフタヌーンで「うちの師匠はしっぽがない」を連載中。サイコミで連載していた「あいどるスマッシュ!」の単行本(全6巻)も販売されています。
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