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「けもフレ2」最終話アンケート“とても良かった”2.6%の衝撃 何があったのか、1話からの振り返りと私見(3/3 ページ)

2017年の冬を沸き上がらせた「けものフレンズ」。ここまで大きな変動が起きてしまった理由はどこにあったのでしょうか。

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 現在の率直な感想を述べれば、期待に応えてくれるものではなかった……というのが正直なところです。1期で人気のあった「明るい裏に潜むジャパリパークの闇が明かされていく」感じは薄まりましたし(1期で描かれた部分なのでまたやるのもマンネリですが)、最終話のアムールトラががれきに飲み込まれていくシーンは「マジで……?」とかなり動揺しました。強い言葉は控えますが、視聴した多くの人が抱いたであろう思いを同じくしているのも事実です。否定はしません。


けものフレンズ2 最終話 12話 バスが川を挟んで2つに分断されていたのだろう → 第11話の作戦を昔ミライさんが実行したのでは? このように1期は視聴者の想像力を刺激しました(画像はけものフレンズ1期公式サイトから)

 しかし同時に、作品外での出来事、つまりはたつき監督の降板に端を発する「けものフレンズプロジェクト」に対する“不信感”が、筆者を含め多くの視聴者の心情的に作品の評価を大きく下げてしまったのではないかとも思います。本稿では触れませんが、「けもフレ」ではたつき監督関連の他にもさまざまな「騒動」があり、1期ファンの内心に不満がたまっていたはずです。

 このたまりにたまっていた“不信感”は「けもフレ2」の至らなかった点や、1期から作風が大きく変わった点などへ“不満”や“批判”へと姿を変え、ついには最悪の形で噴出してしまったのだと思います。そして、一度噴出した批判の声は、中立寄りだった人たちの心をも「世間的にはこれが正しい評価なんだ」と負の方向へと傾けました。

 やがてその流れはパンデミック的に感染を繰り返し、「数字」という最も分かりやすい指標として現れるニコ生のアンケートへとぶつけられます。客観的指標として表されたアンケートの数字はまた多くの人たちの心を負の方向へと導き、そしてまたアンケートにぶつけられ……やがて、「たたくのが当たり前」「擁護してはいけないもの」という、取り返しのつかない評価にまで至ってしまったのが現状であると感じます。

 もしもこれが「けものフレンズ」アニメの1期であれば、「イエイヌ」や「アムールトラ」ビーストの扱いで眉間にしわを寄せる人はいても、ここまでひどい惨状にはならなかったと思います。もしも1期が同じストーリーでも視聴者を「わーい」「たーのしー!」の精神へと誘うようなものでなければ、現在のような全方向に不幸の連鎖を巻き起こすような事態にはなっていなかったでしょう。


けものフレンズ2 最終話 12話 「たーのしー!」の精神が最高潮に達した1期6話は今なお人気が高い(画像は1期公式サイトから)

 多くの人に不信感を抱かせてしまったという点で、「けものフレンズプロジェクト」のかじ取りは大きな過ちを犯したと言わざるを得ません。しかし、アニメ「けもフレ2」の評価に関しては、あまりにも多くの不運の積み重ねにより、本来よりもはるかに低いものになってしまっている可能性があると思うと、やるせない気持ちになります。

 そして、「けもフレ2」を強く批判している人たちにも忘れないでいてほしいことがあります。それは、今でもなお本当に心から「けもフレ2」が好きだという人が、ちゃんと存在することです。最終話で心をえぐられた人からすると「制作陣によるサクラだろう」と思うかもしれません。しかし、私は見たのです。「けもフレ2」最終話が放送された後でも、たつき監督の今季作品である「ケムリクサ」と、「けもフレ2」両作品の愛のあるファンアートを描いているTwitterユーザーの存在を。

 ちゃんと実在しているのです。どうか、このことだけは心の片隅にでも記憶していてください。同時に、「けもフレ2」でショックを受けた人の気持ちも、とてもよく分かります。どうか多くの人が現在の負の感情からいち早く立ち直り、好きな作品へまた熱中できる日々に戻れることを祈っています。

 1期が好きな人、2期が好きな人、両方が好きな人。その思いが、どれも否定されることがありませんように。

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