人の愛を食べないと生きられない架空の生き物を描いた漫画が、深く示唆に富む内容で考えさせられます。作者は漫画家の楢山とおる(@toru_narayama)さん。
近年発見された新種の生物「ラミラミ」。紙を食べるのですが、愛情が込められたハート型の紙を食べると寿命が伸びることが発見されました。数が増えすぎた問題を解決するため、ラミラミはパークに集められ、そこで人間に芸を見せたり、個性をアピールしたりしてハートの紙をもらって食べることで生きています。
主人公のラミラミは、人間に媚を売る自分たちを不自然と感じ、懸命に芸の練習をする一番人気のラミラミになぜそこまでするのかと疑問を投げかけます。初めての人間への顔見せで、その子が人間の愛を「嘘」だと言うのを見ていたからです。自分たちの食べている「愛」は薄っぺらなもの――しかし一番人気の子はそれを知りながらも「食べなければ死んでしまう」「それが現実」「もうこれしかない」と悲壮な様子で語ります。
その後主人公のもとに、飼育員が結婚して仕事を辞めることを伝えに来ます。笑顔で「この仕事が好き」だと話していたのに……楽しそうに仕事をしていたのは嘘だったのかと詰め寄る主人公。悲しそうな彼女を見送ったあと、人間の前へ出ます。一番人気の子のまねをして失敗し、それでもいつもより多くのハートをもらった主人公。もらったハートをむさぼりながら、その中に彼女の愛があったことに気づいて涙を流すのでした。
ニセモノとわかっていても、生きるために“愛”を得ようと必死になるラミラミたちの姿が切なく胸に刺さる物語。読者からは「感動した」「深い」といった声の他、SNSの「いいね」を連想したという感想も寄せられていました。
作者の楢山さんがこのお話を描いたのは6年前。「某アイドルがCDに応募券をつけたのが話題になったときにぼんやりと思いついたような…」とTwitterで振り返っています。
楢山さんは『日々是れ尊いネコマタ荘』(月刊コミックガーデン)を連載中。単行本が6月に発売される予定です。
人の愛を食わないと生きていけない変ないきもののお話
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