撮れたら「カ・イ・カ・ン」 誰でも撮れるの!? プロ直伝「サーキット流し撮り」テクニック:レースフォトグラファー奥川浩彦の「サーキットへ行こう」(3)(1/2 ページ)
SUPER GT を例に「サーキット流し撮りのはじめの一歩」を超〜簡単に説明します。
さまざまなスポーツ観戦がある中で、モータースポーツは「アマチュアフォトグラファーがたくさんいる」ことが特徴だと思います。
乗り物の写真を撮るとなれば、鉄道や航空機などと並び、モータースポーツも人気の高い被写体です。また趣味としても、鉄道好きに乗り鉄、撮り鉄などいろいろな楽しみ方があるのと同様に、モータースポーツの楽しみ方の1つにサーキット撮影があります。だって、楽しいんですから。
サーキット撮影と言えば(レースクイーンさん撮影もありますが……)、やっぱり「流し撮り」です。スピード感や躍動感に溢れた迫力のあるレースの写真はこの方法で撮られています。
今回は、2019年5月に富士スピードウェイで開催された「SUPER GT 第2戦 FUJI GT 500km RACE」で撮った写真を例に、ちょっといいカメラを買ってチャレンジしたくなる「流し撮りのはじめの一歩」を説明していきます。
「流し撮り」って何?
流し撮りは、動いている被写体のスピード感を効果的に表現するための撮影テクニックです。被写体はくっきり固定、背景が流れることで被写体の動きが強調されます。シャッターを開いている間、被写体の動きに合わせてカメラを振って撮影します。
流し撮りで最も重要なのはシャッターを開いている時間を示す「シャッター速度(シャッタースピード)」です。
シャッター速度の設定を変えながら試しに写真を撮ってみましょう。
これらの写真は、SUPER GTのサポートレース「ポルシェカレラカップジャパン」で撮ったものです。同じ場所、ほぼ同じ速度で周回する同じマシンなのに、受ける印象がかなり違いませんか?
それぞれ写真の背景に注目してみてください。シャッター速度=1/500秒の写真は、メインのレーシングカーだけでなく、遠い背景に人やテント、遠くに駐車しているクルマなどもわりとくっきりと写っているのを視認できます。
そこからシャッター速度を遅くするにつれて背景だけがブレていき、スピード感が増してきます。シャッター速度=1/30秒になると背景が「ビュン!」と流れ去るように写ります。このように、シャッター速度を変えただけで「スピード感がまるで違う写真」になるのです。
「流し撮り」どうやって撮るの?
流し撮りは、被写体の動きに合わせて「カメラを振って」撮ります。
カメラとレンズを「被写体の走行方向と速度」と同調するように、スイングしながらシャッターを切るのです。そのときに設定したシャッター速度に応じて、前述したようなスピード感のある写真に仕上がります。
最初は背景だけでなく被写体も豪快にブレてしまうでしょう。肝心の被写体がまるで写っていないことさえもあるでしょう。スイングの速さが被写体の移動速度と違えばブレます。スイングが上下に、斜めにずれてもやはりブレてしまいます。
ですので撮って撮りまくって、スイングの精度を高めていきます。テニスや卓球、野球のスイングと同じで、スイングがうまくなっていくと、流し撮りが次第に決まるようになってきます。思い通りの写真が撮れると「うぉぉ! やったぜ!」ウルトラ快感ですよ!
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