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心震える名曲はこうして産まれた――希代の天才作曲家アラン・メンケンが明かす実写「アラジン」の聴きどころ

「ホール・ニュー・ワールド」や「フレンド・ライク・ミー」もこうして産まれた。

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 貧しい青年アラジンと、王宮の外の世界に自由を求める王女ジャスミン、“3つの願い”をかなえることができるランプの魔人、ジーニーが繰り広げる冒険を描いたディズニー・アニメーション不朽の名作をガイ・リッチーが実写化した映画「アラジン」が6月7日に公開されました。

アラジン 実写 アラン・メンケン ホール・ニュー・ワールド フレンド・ライク・ミー 作曲 インタビュー
不朽の名作が実写化

 1992年公開のディズニー・アニメーション「アラジン」で、主題歌「ホール・ニュー・ワールド」などを手掛けたのが、作曲家のアラン・メンケン。「リトル・マーメイド」(1989年での成功を受け、その後「美女と野獣」「アラジン」など多くのディズニー映画にも参加してきたメンケンは、今作でも楽曲制作を担当。名曲「ホール・ニュー・ワールド」はもちろん、ジーニーによる「フレンド・ライク・ミー」などのレジェンドナンバーを新たな装いで登場させています。

 これまでに8度のアカデミー賞(作曲賞4回、歌曲賞4回)を受賞するなど、世界的な作曲家としての名声を不動のものにした大作曲家のメンケン。そんな巨匠の目に実写「アラジン」はどう映ったのか。来日した同氏に話を聞きました。

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アラン・メンケン。世界的な巨匠がねとらぼの取材に答えてくれるだなんて!

―― あなたがディズニー音楽を手掛ける上で大切にしていることは?

メンケン 作詞という意味では、気を遣わなければならない部分はありますが、作曲家の姿勢としては、ディズニーかそうでないかは関係ありません。

 ただ、ディズニー作品というのは“とても安全な場所”だとは思います。排他的でなく、誰でも楽しめるものでなければならない。そして、ディズニーがそうした場を保とうとしているのは大切なことですから、その楽曲もまた、建設的で、人によい影響を与えるものであるべきだと思っています。

―― あなたが作曲のオファーを受けたとき、何を受けて何を断るのか、自身の判断基準をどうお持ちなのですか?

メンケン 割と“勘”ですね。この物語をつづるのに一番適している音楽的語彙(ごい)は何か。僕が使ったことがないものであればもっと面白いと思うし、娯楽性があるものなのか、エモーショナルなものなのか、ユーモアがあるものなのか、聴くとどんな経験になるのかなど、どんなタイプのスコア(総譜)になるのかを夢想します。大切なのは、作品が持つそれぞれの世界観をスコアがきちんと捉えることです。

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5月の来日イベントではアラン・メンケンによる「ホール・ニュー・ワールド」の生演奏が披露された

―― なるほど。あなたが手掛けた名曲の数々で、特に印象深いディズニー音楽を1つ挙げるなら?

メンケン 同じことをよく聞かれるのですが、いつも決まった答えを返すしかないんです。全部自分のかわいい子どもたちですから。

 スコアというのはモザイクのようなもので、カーペットを紡ぐ糸の中でどれが一番大切なのか聞かれているようなものです。もちろん、曲の中で目立つものはあります。あるいは物語の中でそのとき感じるべき感情を一番感じさせてくれる楽曲も。でもそれは別の物差しかなと思います。

 主人公の夢や求めているものを感じさせてくれる楽曲もありますし、2人の愛の積み重ねを表現しなければならない楽曲や、単純に祝福を感じさせる楽曲だってあります。全てが重要で、それらを差別化することはできないですね。

 (目の前のピアノでそれぞれの楽曲のさわりを弾きながら)例えば「リトル・マーメイド」でアリエルが歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」は作品において鍵となる楽曲ですが、セバスチャンが歌う「アンダー・ザ・シー」も、あるいはアースラが歌う「哀れな人々」、これら全てがスコアのモザイクを構成するもので、その中から1つを選ぶことはできないのです。僕はそう考えていますが、とはいえ、他の人がどれをお気に入りと感じるのかは興味はあります。あなたはどうですか?

―― 私はあなたが今「パート・オブ・ユア・ワールド」の生演奏を披露してくれた感激のあまり呼吸が止まってしまいそうです……。

メンケン (再び「パート・オブ・ユア・ワールド」のさわりを弾きながら)ニッコリ

―― 話を戻して、実写アラジンをご覧になって、あなたが感じたことを率直に言い表すと?

メンケン 製作中ずっと一緒に仕事をさせてもらったので、完成したものを見たときは本当にうれしかったですね。企画がどのように開発されたいったのかも知っていましたし、CGやVFXの工程が終わり、アンダースコアの効果がどんな仕上がりになったのか、それを含めて、「あぁ、こうなったんだ」とすごく満足のいくできで、うれしかったです。

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「アラジン」USプレミアでの1枚。ガイ・リッチー監督とウィル・スミスに囲まれるアラン・メンケン。

―― 映画音楽界のあらゆる富と名声を手に入れたマエストロであるあなたが今、アーティストとして一番重要だと感じることは?

メンケン 成長し続けること。25歳のときからその考えは変わっていません。年を重ねると、自分のキャリアで成し遂げてきたことを振り返ることができるし、あなたも僕の曲を聞いて育ってくれたのかなと考えるとやはりすごくうれしいことなのですが、僕は最初のころからやっていることは変わらない。ただ、仕事が増えただけ(笑)。ただただこれからも成長し続けたいです。

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紳士を絵に描いたような愛にあふれた対応をみせてくれたメンケン。ありがとうございます!

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