最終話「わたし、定時で帰ります。」全10話をかけて“全員”の働き方が変わるまで 誰も悪者にしなかった制作4部の働き方改革(2/2 ページ)
「よく飲んでよく食べてぐっすり寝て、みんなと元気に働きたい」。
晃太郎がようやく得た気付き
結衣は追加の人員を確保するため、社長に直談判する。
「環境も制度も全て整えた。なのに、みんな定時で帰らない。有休を取ろうともしない。どうしてだ?」(灰原社長)
環境が変わっても、人が変わらなければ一緒ということ。
晃太郎は仕事のペースを落とさない。ヘルプで石黒を呼んだのに、休もうとしないのだ。結衣はワーカホリックの気持ちを理解しようと自らも働き続け、そして倒れた。
「でも結局、私にはわかんなかったよ」(結衣)
気付きを得たのは、結衣ではなく晃太郎のほうである。
「みんな最後までチーフの言いつけ守って、休憩取りながら仕事してたらしい。それでも終わるもんなんだな」(晃太郎)
「仕事と私、どっちが大事なの?」と問われ「仕事」と答えた晃太郎が、明日に納期が迫る仕事より結衣に付き添うことを選んだ。以前は結衣が倒れる晃太郎を見つけたが、今度は晃太郎が倒れる結衣を発見した。立場は逆転し、晃太郎は思い知った。
「全然目覚まさないし、呼んでも起きないし、もうどうなってんだって怖かったんだぞ! もしこのまま目を覚まさなかったら……このまま帰ってこなかったらどうしようって」
晃太郎はようやく気付いた。制作4部、最後の働き方改革である。
半年後、結衣と晃太郎はこんな会話を交わしている。
結衣「この後、会社戻るんですか?」
晃太郎「ううん。どうせ、もうすぐ定時だ」
結衣が身をもって伝えたおかげで、晃太郎はもう無理な働き方をしていない。
星印案件の打ち上げで、結衣は言った。
「改めて私も考えてみました。人は何のために働くのか。何だと思います? ……わかんない(笑)。わかんないけど、よく飲んでよく食べてぐっすり寝て、これからもみんなと元気に働きたいので、よろしくお願いします!」
つまり、どんな働き方も否定しないということ。ただ、自分のことだけを考えていた結衣が「みんな」を考えるようになった。働き方は人それぞれ。でも、「みんなが働きやすく」が行き着いた1つの答えである。だから、「わかんない」でいいと思うのだ。会社のために自分があるんじゃない、自分のために会社がある。
「わたし、定時で帰ります。」これまでの振り返り
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