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「感動ポルノ」だけじゃなく、「炎上ポルノ」もあるよね―― ねとらぼ編集部員に聞く「お前の原体験はなんだ」 〜たろちん編〜ねとらぼの中の人インタビュー(4/4 ページ)

編集部の中の人にいろんなことを聞く連載。第1回はゲーム実況のパイオニアである「たろちん」さん。

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――どう変わりました?

たろちん:まず、一番でかいのは「お金もうけ」に対して見る側がものすごい寛容になったことかなと。むしろ、「再生数が多いしもうかっててすごい」とか「あいつはもっと伸びていい」みたいな、視聴者側にも数字に対してポジティブな意識がある。昔はゲーム実況以外のことをやるだけで「調子乗ってんじゃねーか」みたいな空気があって、ブログにアフィリエイトでも貼ろうものなら「ゲーム実況で得た知名度で金稼ごうとしてるぞ。ぶっ潰そうぜ」みたいな炎上が本当にあったんですよ。今思えば何も悪くないのに。


たろ

――確かに、昔は“ゲーム実況者のマネタイズ”への偏見はひどかったですよね。

たろちん:今は視聴者の方が「もっとTwitterとかブログとかやった方がいいんじゃない?」っていうアドバイスをしてくるぐらい。

――ゲーム実況のコンテンツの内容はどうです?

たろちん:変わってはいるけど……。当初はやってる側もグレーだって意識があるから「新作はやらないようにしよう」とかが暗黙の了解みたいになってたけど、今は話題性のある最新作にみんな飛びつくようになったりとか。企画性とかにしても視聴者を引きつける要素がないといけないし、編集もうまくないといけないし……。

 初期ニコニコのよさって素人の作った粗さというか「視聴者との距離の近さ」もあったと思うんです。それこそ昔のニコニコでは視聴者からのツッコミとか秀逸なコメントがついて動画が完成するようなところがあったけど、今は「キャー!」とか「面白すぎw」みたいに実況者を全肯定するものが多いし、作る側もそこに合わせて表現が丸くなったりしてるし。そういう動画見て「視聴者にこびてんじゃねえ!」って思って見なくなった実況者とかもいっぱいいます。

――(笑)。

たろちん:でも実際に重要な視聴者層なんだから当然の選択だと思いますよ。再生数も取れるし、お金も儲かるし、別に悪いことだとは思ってないよ。まぁ俺は好きじゃないから「こびてんな」って思うんだけど(笑)、そういう事言うと「僻んでるのか」「うるせえよ老害」「お前だってつまんねえよ」とか言われるんだよね。現実世界で少数派になったやつがネットに逃げ込んだら、今はネットでも少数派になっちゃったみたいな(笑)。だから今のネットの風潮も受け入れていかないといけないんだろうね。


「バズらないものも同じ命なんだよ……?」

――今PR記事担当として働くたろちんさんから見て、バズってるものとバズってないものの違いってなんだと思います?

たろちん:僕が言うとまたトゲがあるんだけど、もともとバズってるものってあんま好きじゃないんですよ。なぜなら自分が少数派だから。中学生のころとか、「売れてるから見ない」「みんなが聞いてるから聞かない」みたいなのってあるじゃん。穿った目で見てしまってるんだよね。まぁ最近は丸くなってきて、アベンジャーズ見たらめちゃくちゃ面白かったりしたんだけど(笑)。

 でも、本当は「バズ」をみんなが目指す必要はないと思うんですよ。PRやってると「バズってるから良い・バズってないから悪い」みたいな空気を感じるけど、「バズらないものも同じ命なんだよ……?」とは思う。みんな違ってみんないい。


たろ 「バズらないものも同じ命」 自分の記事がバズらなかったときに言いたい名言

――よく「良いものは絶対バズる」と言う人がいますよね。じゃあこれについては……。

たろちん:そんなことないです。バズるってただの数なので。大多数が支持するものにかき消されちゃうものの中にも、何億人のうち100人とか1000人にだけ深く刺さるものもある。

 だからこそ多様性というか、少数派を許容することが大事だと思うんです。

 多数派に叩きのめされちゃうから意見し辛いような風潮があるけど、多数派だけでなく、色んな人がいるインターネットをもう少し見ていたい。僕の場合は少数派が仲間を求めてインターネットに来たのにまたそこを追いやられちゃってるから、行くとこないんですよ。ちょっとで良いからこんな社会不適合者の居場所も残して欲しいなって気持ちを持ちながら、今日もインターネットの仕事をしています。

――なんだかんだ言ってもインターネットから抜け出せないですからね僕ら。

たろちん:もう行くとこないんだよ。インターネットがなくなると。

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