ダーツの代わりに手裏剣を投げる、一風変わったダーツゲーム「ニンジャトレーナー」が注目を浴びています。特にユニークなのが、遊ぶ前に自分で手裏剣を購入し、遊び終わったら持ち帰ってOKというシステム。7月に行われたロケテストでは「外国人観光客の方々の食いつきがすごい」とも話題になりました。
アーケード版の本格稼働はもう少し先ですが、これは確かに流行しそう……! ということで、ライターのしげるさんに実物を触ってきてもらいました。
ライター:しげる(@gerusea)
岐阜県生まれのライター。プラモデル、アメリカや日本や中国のオモチャ、制作費がたくさんかかっている映画、忍者や殺し屋や兵隊やスパイが出てくる小説、鉄砲を撃つテレビゲームなどを愛好。一番好きな忍法帖シリーズの忍者は『江戸忍法帖』の鵜殿一風軒。
ワオ……ニンジャ……!
忍者が好きだ。といっても、忍者のことが嫌いな人間というのは忍者に故郷の村を焼かれた人くらいだろうから、現代の日本にはほぼいないと思う。中学生の時に山田風太郎の忍法帖シリーズを片っ端から読んで以来、おれは忍者というものにボンヤリと「なんかこう……好きだな……」と好意を持ち続けてきた。この文章を読んでいるあなたも、多分そうだろう。
そんな忍者になれる、体験できるという触れ込みのゲームが、いきなり登場した。その名も「NINJA TRAINER(ニンジャトレーナー)」。アーケード版と家庭版があり、家庭版は今年の6月10日に販売開始。アーケードの方はまだ開発中ながら、既にロケテストを行うところまでたどり着いている。キャッチフレーズは「The Best Ninja Experience」。ベスト・ニンジャ・エクスペリエンス……! ワオ……ニンジャ……! 痺れるキャッチフレーズだ。おれだってベストなニンジャエクスペリエンスを体験したい。というわけで、このゲームを開発しているダーツライブにお邪魔するべく、大崎駅に降り立ったのである。
ダーツライブはセガホールディングスグループのうちの一社のため、会社が入っている建物もセガホールディングスと同じビル。というわけでキレイで広い社員食堂に案内していただくと、その一角にはしゃれたバースペースが。え、セガって社食にバーあんの!? ひょっとして飲みながら仕事していいのか!? 超うらやましい!!
そしてその一角にズドンと設置されているのが、ニンジャトレーナーのアーケード版と家庭版だ。バー、そして忍者。すごい食い合わせだが、これも忍者はどこにでも現れるということの証明である。油断大敵……。
ちゃんと本物のニンジャが監修している本格派
というわけでダーツライブの皆さんにレクチャーしてもらいつつ、早速手裏剣をお借りしてニンジャエクスペリエンス開始。手裏剣はゴムでできていて、これならもし人に当たっちゃっても大丈夫そう。実際のアーケード版ではマシンにお金を入れるとこの手裏剣が出てきて、投げ終わったあとは持って帰っていい。お土産にも最適、忍者は気遣いも忘れないのだ。
ニンジャトレーナーの監修は、日本忍者協議会顧問にして甲賀伴党二十一代目宗師家、要するに本物の忍者である川上仁一さんが行っている。家庭用版も川上さんが監修しており、正しく手裏剣が当たらないとうまくボードに刺さらないようになっているのだ。というのも家庭版ニンジャトレーナーの表面は剣山のようになっており、このトゲトゲの隙間に飛んで来た手裏剣が突き刺さる。そのため投げ終わった後はまた引っこ抜いて何度でも投げることができる。そして、こういう形の的なので、しっかり縦に手裏剣がヒットしないとうまく刺さらないのだ。
というわけで、まずは家庭版に投げてみる……のだが、これが意外にうまく的に刺さらない。最初に投げた2枚はブスブス刺さったんだけど、そこから先は跳ね返されて手裏剣があさっての方向に……。手裏剣が真っすぐ当たらないと刺さらないので、まぐれ当たりがないのである。しかし、刺さった時の「ズドン!」という手応えは、まさに時代劇とかで見たあの木の板に手裏剣が突き刺さった時のアレ。ズバッとうまくヒットした時の快感がすごいので、夢中になってピュンピュン投げてしまった。あと、うまく刺さるとダーツライブの皆さんが「えっ! うまいですね!」「なんか運動とかしてたんですか!?」と褒めてくれるのでめっちゃうれしい。これが古来より日本に伝わる接待手裏剣である。
続いてアーケード版にも投げさせてもらう。こちらは単純に中心を狙って手裏剣を投げる「集中芯打」、的を部分ごとに狙い撃ちする「目標撃破」、そして的の表面を目標が動き回る「縦横無尽」の3つのルールが選べ、それぞれ最大4人まで同時にプレイすることができる。まずは一番単純な集中芯打をプレイしてみたところ、おれは中忍ということに。一発目で中忍……。10代のころから忍者が出てくる本をいろいろ読んできた蓄積が、初めて生きた気がする。
しかしその後の目標撃破、そして縦横無尽はやっぱり難しい! 特に目標が動き回る縦横無尽はターンごとに動きが早くなり、狙った場所に当てるのは至難の技。やはり忍者はすごかった……。本物の忍者の技量を思い知り、そして自らの鍛錬の必要を再確認する。それが「The Best Ninja Experience」なのである。
もともとは日本忍者協議会からの持ち込み企画だった
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