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“微分積分は何の役に立つのか”が分からない人向け文章問題作ってみた 「タカシ君のこたつが温まるのにかかる時間は?」(2/2 ページ)

「冬の朝、こたつが温まりきっていなくてイラッとする問題」は微分積分で解決できる(はず)。

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解説:もっと詳しく計算方法が知りたい人向け

 まずは問題文の最後にある「こたつの温度上昇率は、こたつの温度とヒーターの温度の差に比例するものとします」という一文をやっつけてしまいましょう。

 まず比例とはなんでしょう。細かい説明は省きますが、例えば「xとyが比例する」と言ったら、次のように書けるという意味です。

  • y=a×x

 この式は「xを何倍かするとyになる」という意味です。そしてこの「何倍か」が常に一定のとき、「xとyは比例する」と言います。「2倍」であればy=2xですし、「3倍」であれば「y=3x」になります。

 従って、最後の一文は次のように書けます。

  • (温度上昇率)=a×(こたつとヒーターの温度差)

 日本語で書かれていた文章が、なんだか数式っぽくなりました。でもまだ日本語がいっぱい入っていますね。これも全部数式にしてしまいましょう。

 「こたつとヒーターの温度差」は、引き算で求まります。ヒーターの温度は35℃でした。一方こたつの中の温度はちょっとずつ変わっていくので、Tで表すことにします。するとこれは「35−T」と書けますね。

 次に温度上昇率です。温度上昇率というのは「ある瞬間にどのくらい温度が上がるか」ということです。

 タカシ君は最初、10℃からこたつを温め始めました。この瞬間の温度上昇率はいくらでしょうか。上述の計算式に当てはめると

  • a×(35−10)=a×25[℃/時]

 であることが分かります。

 さらに温度が上がって15℃になると

  • a×(35−15)=a×20[℃/時]

 もっと温度が上がって、20度になると

  • a×(35−20)=a×15[℃/時]

 aの大きさは一定なので、温度が上がるほど温度上昇率は下がっていくことになります。つまり、最初は勢いよく温度が上がりますが、時間がたつと緩やかに上がっていくようになるのです。



 このような場合、どうすれば温度上昇率を計算できるでしょうか。1時間で割ってもダメなことはさっき言った通りです。30分でもまだ長いです。1分でも1秒でも、0.1秒でも0.01秒でも、その間に温度上昇率は変わります。もっとずっと短い時間で割らないといけません。本当に一瞬の時間で割る必要があるのです。

 仕方がないので、その短い時間を「dt」と書くことにしましょう。そしてその間に上がった温度(こちらは小さいかもしれないし、大きいかもしれません)を「dT」と書くことにします。すると温度上昇率は、「dT/dt」と表すことができます。

 はい、これが「微分」です。微分とは、ものすごく小さい間(時間でも長さでも可)にどのくらい変化するかを表す計算なのです。これでようやく、問題文の最後の一文を数式で書けるようになりました。



 対して、温度の上昇量は、グラフの下に細い長方形の面積として現れます。積分を使うと、グラフの下の面積を求めることができるのです。



 ここで使うのが積分。実際に計算すると「log」「e」といったややこしい話が出てきますが、「約1時間12分32秒」という答えが導き出せます。


「(温度上昇率)=a×(こたつとヒーターの温度差)」の「a」の値を求める式


t'の値を電卓で計算すると、約1.209時間、すなわち約1時間12分32秒だと得られます。こたつがぬくぬくになるまでの時間が分かったね、やったー!

キグロ

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