国指定の難病と戦いながら漫画家として活動する作者の実体験を描いた闘病ギャグエッセイ漫画『腸よ鼻よ』が単行本化されます。KADOKAWAから9月13日、1080円で刊行。
作者の島袋全優さんが学生だったころに国の指定難病である「潰瘍性大腸炎」と診断されてから、入院生活を重ねながら漫画家としてデビューしていく過程を描いています。こう書くとシリアスな作品に見えますが、コミカルな描写が満載です。
病気のことを「ネットで調べた」最初の担当医、点滴で腕が血まみれになる看護師さん、内視鏡検査で「オークに襲われた女騎士の気分」、体力低下で「ラジオ体操で撃沈」……ハードな闘病生活がコメディータッチで描かれます。漫画家デビューしてからは、「入院中に病院で原稿」とこれまたダイハードな生活。
受賞式のためを東京を訪れたときには、「免疫が低下していたため駅のトイレを1回使っただけで偽膜性大腸炎に感染」という、思わず「ヒィ」と悲鳴が漏れるエピソードも(14〜16指腸)。ハードモードという言葉では足らない状況ですが、ギャグを交えて描かれているため、重い気分にならずに読み進められます。
入院は23回――作者に聞いてみた
連載は今も「GANMA!」で続いており、大腸の全摘手術に向かうエピソードが描かれています。連載ページには休載のお知らせも多く、いろいろ心配になりますが、現在の体調や闘病記連載の経緯について島袋さんに聞いてみました。
現在の体調は「まずまず」で、「水分補給に気をつけて暮らしてます」とのこと。トータルの入院回数は、「入院回数23回、手術は10回」。診断を受けたのが2011年なので、数カ月に1度のペースで入院し、1年に1回以上のペースで手術していることに……。
闘病記の連載は、前作の担当編集者(作中にも登場するKさん)からの提案がきっかけ。島袋さんは前作の連載が終わってから2年ほど病状が悪化しお休みしていましたが、Kさんが「GANMA!」運営元に移ったタイミングで提案があり、病状が少し落ち着いてから連載が決定しました。
『腸よ鼻よ』、前作『蛙のおっさん』と島袋さんのこれまでの作品は主にギャグ漫画。今後どんな作品を描いてみたいかも聞いてみたところ「今後もギャグマンガを中心に描きたいですけど、ステゴロ(喧嘩)を描いた不良っぽい漫画も描いてみたいです」との答えでした。
『腸よ鼻よ』は8月に「次にくるマンガ大賞」のWebマンガ部門3位に入賞。ちなみに単行本では、島袋さんが沖縄ネイティブなばーちゃんに振り回される描き下ろしエピソード「全優のばーちゃん(母方の)」も収録される予定です。
『腸よ鼻よ』1話試し読み
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