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「万引き犯への温情は無用」「こんなヤツには注意する」 万引きGメンに聞く、よくある手口と捕まえ方(2/5 ページ)

「子どもであろうと、金額が少なかろうと、必ず警察に引き渡します」

 典型的なのが「手首を内側に曲げて商品を持つ」です。ふつう、商品を手にとって持っているとき、隠すように手首を曲げることはしません。そうやっていったん視界から隠してから、(長袖着用の季節だと)袖の中に滑り込ませたり、ポケットに忍ばせる……わけです。

――手首を曲げて隠す……そんなに大きな商品は持てないですよね?

 そういう場合は、箱から出して盗みますよ。イヤフォンとかピアッサー(ピアスを通すために耳に穴を開ける器具)のようにかさばる商品で起きやすい。空になった箱が捨てられているのを見つけることもあって、その「ガラ(空き箱)」はきちんと回収します。ガラがある=盗まれたってことなので。

――じゃあ、手首を曲げていたらかなり怪しいわけだ。

 例外があって、アダルト系の商品を隠している場合もあります。単純に恥ずかしいって心理がそうさせているケースですね。なので万引きとは断言できません。

――ほかに危険なサインはありますか?

 バッグを体の前に持ってくるのは要注意。手にした商品をさっとカバンに入れられるポジションですからね。とくに口があいた状態で空っぽのエナメルバッグを体の前に持ってきていたら、ロックオンします。

――なるほど、でも一人で観察するのって限界がありません? どうしても死角が生まれてしまう気がする。

 万引きGメンは基本2人1組で動きます。携帯電話で小声で通話しながら、互いの動きがかぶらないよう、同時に死角も生じないよう、万引き犯の周囲を衛星のように旋回しつつウォッチするんです。

――すげぇ……そんなふうに包囲するんだ。最高で1日に何人捕まえました?

 5人です。1回捕まえるとなんだかんだで現場復帰するまでに1〜2時間かかるものなので、1日に5人というのはかなりの忙しさです。

――逆にゼロってときもあります?

 たまにありますが、そんなときは店長さんの顔が厳しいですね……「え? ゼロなの?」って不満顔をされます。万引きがゼロなんてことはありえないので、「捕まえていない=見逃してしまっている」ということです。

――単独犯ではなく、組織犯行もあったりしますか?

 あります。化粧品とか対面式の貴金属コーナーにアジア人がいると警戒はしました。店員のいないスキを見て、ガラスケースを開けてごそっと盗んでくるんです。完全なる転売目的ですね。

――なるほど……「店内のどこそこを見張れ」という指示って、リアルタイムにどうやって出し合うんですか?

 店内放送で隠語で呼びかけます。デパートでもおなじみのアレですね。

――仮に窃盗犯が「ヤバイ、万引きGメンに見られた(付かれている)!」って察知した様子だったら、どうするんですか?

 そういうときはいったん離れます。やりにくいなーというか、こういう事もあったというので話しておくと、同じヤツに2回店内で遭遇してしまったときはやりにくかったです。われわれGメンは終日店にいるわけですが、感づかれた窃盗犯は数時間ほど開けて「もうGメンはいないだろう」ってもくろみをつけてから再来店しているわけ。そしたら同じ人間(私)が店内にいて、互いに「……あっ」っと察するという(笑)。

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