ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月23日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。豚コレラワクチンを岐阜や愛知など、感染が確認された地域から接種するというニュースについて解説した。
豚コレラワクチン〜発生した県から段階的に接種へ
農林水産省は21日、豚コレラ対策で実施する豚へのワクチン接種について岐阜や愛知など、豚への感染が確認された地域から段階的に拡大する方向で検討に入った。限られた量のワクチンを有効に活用するため、まず発生した県から始め、その後、隣接する県や野生イノシシでの感染が確認された地域などに順次対象を広げる方針。
飯田)近く有識者会議を開いて地域の選定を急ぎ、県知事などの意見も踏まえて正式決定する見通しだということです。これが切り札というようなことも言われています。
須田)なぜこのタイミングでワクチンになったのか。もっと早く接種するべきであったのではないでしょうか。その辺も検証する必要があると思います。あまり広くワクチンを接種してしまうと、輸出に関して支障をきたすという懸念もあります。だとしたら対応が後手に回ってしまって、初動に誤りがあったということになるのでしょう。
なぜ野生のイノシシの感染を止められなかったのか
須田)まずは感染ルートの特定と、ルートの遮断ということが必要だった。それが野生イノシシだということは間違いないのだけれども、なぜ野生イノシシからの感染をストップすることができなかったのか、検証する必要があると思います。見ていますと、1つは山の猟師が減少して、イノシシの捕獲も減少しているという側面があるのだと思います。もう1つは、いま里山が荒れていて、イノシシが人間の居住する範囲に入って来るという状況もある。そういうことも検証しなくてはなりません。もう1点話しておきたいのですが、イノシシは冬眠しないそうです。雪深いところでは雪に埋まってしまって死滅するので、そこが北限になるのだそうです。
飯田)自然と雪が積もるところが北限になると。
須田)ところがいまは暖冬で、イノシシの北限が北に向かって上がっているという状況もあります。この冬が勝負なのではないでしょうか。豚コレラに感染している野生イノシシの根絶が必要になると思います。
飯田)埼玉や群馬、千葉は畜産の盛んなところで、飼育している豚の数は中部地方を全部合わせても、群馬1県にかなうかどうかくらいです。
豚コレラに感染している豚が確認されたことを受けて埼玉県・大野元裕知事が農林水産省を訪れ、殺処分や移動制限の対象となった畜産農家への財政支援などを求める要望書を農水省の新井ゆたか消費・安全局長に手渡した=2019年9月17日、農林水産省 写真提供:産経新聞社
柵を設置することでイノシシの侵入を防ぎ、感染させなかった石川県の例
須田)平野部ですからね。おそらくどこかでイノシシと接触したのかもしれませんが、今度は豚から豚へと、爆発的な感染が広がって行きます。いま手を打たなければというところです。感染源に囲まれた石川県がなぜ発生しなかったのかというと、福井と石川の間に柵を設けてイノシシが入ることを防いだ。岐阜や長野に関しては山で囲まれていますから、そこをイノシシが超えることができなかった。このことを考えるとイノシシであることは間違いないし、1つのヒントがここにあるのかなと思います。
飯田)野生のイノシシにワクチンの入った餌を投与するのは難しいと言われていますが、物理的に入って来ないように対処することはできるということですね。
須田)ええ。ですので、なぜそういう手を打たなかったのか。ただ一方では、福井と石川の間で柵を設けたときに、両県で揉めています。「野生動物が移動するのは当然だろう」と福井県が文句を言った。そのようなこともあって県ごと、自治体ごとに対応を任せると後手に回りますから、早急に国が動くべきだったと思います。利害調整をするという点でも。
飯田)農林水産省、大臣も含めて言っていますが、豚コレラに感染したとしても人間には感染しない。2000年代の半ばくらいまではワクチン注射をしている豚が普通に流通していたので、食卓に影響はないということです。
須田)風評被害という点でも、しっかりPRしてほしいと思います。
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