ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。8月の毎月勤労統計調査の名目賃金が2ヵ月連続で減少したニュースについて解説した。
8月の毎月勤労統計調査、名目賃金が2ヵ月連続で減少
厚生労働省が8月の毎月勤労統計調査の速報値を発表した。基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は、前月7月と比べ0.2%少ない27万6296円で、2ヵ月連続で減少している。
飯田)現金給与総額は、ある意味で実感の部分というか、額面でわかるという。
高橋)景気がよくないのですよ。毎勤統計の前にも、先月(9月)末に鉱工業生産が出ましたが、それも悪い数字でした。今月(10月)頭に出た日銀短観も悪い数字です。7日に出た景気動向指数もよくなかった。それでこの毎勤統計です。同時に出た景気ウォッチャー調査は、先行きを見ると当たるのですが、先行きも悪いですね。
飯田)そうですよね。この景気ウォッチャー調査は9月分だから、足元のところは2ヵ月連続で改善したと書いてありますが。
高橋)あれは違いますね、先行きだけだから。現状の方は景気動向指数で見るのです。先行きはウォッチャー調査が当たるので、それを見ます。景気判断は景気動向指数でしています。機械的なところで言うと、4ヵ月ぶりに悪化ということで、景気後退と言わざるを得ない状態です。
飯田)これが月例経済報告と正反対になっているということですね。
今月中には月例経済報告でも「景気が悪い」と言わなくてはならない
高橋)景気動向指数は機械的にやっているから、毎月いつ発表か決まっています。月例経済報告は閣議があって、少し政治的です。だからやる日は決まっておらず、今月中にやればいいのですが、今月中には言わざるを得ないのです。そこで景気判断を悪く言わないと大変でしょう。2〜3ヵ月前に、景気が悪いということは言ってもよかったのです。でも選挙や消費増税の前だったから、政治的に言えなかった。消費増税や選挙もやったので、月例経済報告で「景気が悪い」と言うでしょう。言い訳が苦しくなっている状況だと思います。私が先ほど経済指標をたくさん並べましたが、みんな悪いでしょう。これで景気がいいと言ったら、みんな「えっ!」となりますよ。
飯田)そうですね。肌感覚とあまりにも違いすぎるし。
高橋)景気対策をやるのを覚悟して、「悪い」と言った方がいいですよ。麻生さんは景気対策は必要ないと言っていますが、景気対策をやらないで済むはずがないと思います。
飯田)景気対策の予算を通したとしても、すぐに効くわけではなく、タイムラグがありますよね。
景気対策をしなくてはならないタイミング
高橋)世界経済は悪い。米中は当分収束しない。ブレグジットもあります。ホルムズ海峡も危ない、日韓も危ういということは、いい話がないではないですか。
飯田)消費増税で、内需も痛めつけているわけですよね。
高橋)最悪ですよ。景気対策をやらなければいけないタイミングです。
飯田)消費増税は間違いだというメールもいただいております。金沢区の84歳、“まさたか”さん。「莫大な対応資金を投入して下支えして、民間にも多大な負担を強いて混乱を起こし、何もいいことがないではないか。困るのは低所得者、高齢者、弱者切り捨ての構図ではないかと。私案ですけれども、消費税を5%に引き下げた方が、無駄な資金を使わずに内需や税収も上がる。長い目で見たらいい政策だと思うのですけれども」といただいております。
いちばん簡単なポイント還元対策はデビットカードを使うこと
高橋)5%まで引き下げると大変だから、とりあえず全品目で軽減税率を適用とかね。軽減税率の税率を下げる方が簡単です。でもポイント還元があるので、せっかくだから活用した方がいいですよ。私はキャッシュレスだから、知らない間にポイント還元されているのですが。いままで現金の人は、これを機にやった方がいいかもしれないです。
飯田)それに関しては、使えるものは使っておけと。
高橋)いちばん簡単なのは、銀行預金の口座を持っていれば、ただでデビットカードがもらえます。
飯田)一時期は流行りましたよね。
高橋)デビットカードを使うと、還元率が普通の交通系より高いのです。スマホが苦手な人は、デビットカードを使うのがいちばんお手軽だと思います。
飯田)なるほど。対応店舗が限られるかもしれませんが。
高橋)インターネットを使って登録するとか、面倒くさいでしょう。文句があるのはわかりますが、ふんだくってあげると思ってデビットカードを使うべきだと思います。
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