ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。再開された米中貿易協議について解説した。
米中貿易協議が再開
米中での貿易協議が10日に再開した。アメリカのトランプ大統領は中国の劉鶴(リュウ・カク)副首相と11日に会談すると発表、滞っていた両国が協議を進展させるのではないかと期待が高まっている。
宮家)また再開、ですか。
飯田)中止したり再開したりと繰り返しています。
協議がうまく行かない2つの理由
宮家)これはうまく行きません。理由が2つあって、1つは、アメリカは中国の黒字が大きいとか小さいという話ではなくて、中国共産党の指導の下での政治化された経済システム、諸々の中国に有利なこのシステム自体を変えてくれと言っているのですよ。それに対して中国は、個別の譲歩なら可能だけれども、共産党の指導なんて、とてもではないけれど譲れるはずがありません。
大統領選挙が終わるまで引き延ばす中国
宮家)もう1つは、アメリカの大統領選挙です。トランプさんは選挙のために、中国との問題で得点しようと思っていますが、中国はなぜこんな奴に譲歩しなくてはいけないのかと思っている。もしかしたら来年(2020年)トランプさんは負けるかもしれないではないですか。それなら様子を見ようと普通なら思います。となると、どう考えてもうまく行くわけがないではないですか。
両国の妥協があれば来年の10月
宮家)もし妥協があるとすれば、こんな感じです。来年の9月、10月辺りは選挙の直前、その時にアメリカ経済がどのくらい上向きになっているか、下向きになっているか。これで大統領選挙の結果が決まるといっても過言ではない。いまのところ大やけどになっていないからみんな強気だけれど、そのうちにマーケットが必ず反応するようになると思います。そのときにはトランプさんも中国側も、世界経済が壊滅状態になっていいわけがないので、どこかで妥協があるだろうと思います。しかし、これはいつも申し上げている通り、一時的、表面的、限定的なものでしかないし、そのような状態はおそらく大統領選挙が終わってどんな結果になっても続くのだということです。
飯田)トランプさんに得点を稼いでもらって、譲歩を引き出すというのも中国としては考えるところですか? トランプさんに貸しをつくる、みたいなことですかね。
宮家)貸しなんて効かないでしょう、あの人には。
飯田)なるほど、効かない。
宮家)中国は非常に困っていると思いますね。いままで中国と一緒に仕事をして来たアメリカ人たちにとっては、中国と一種の暗黙の了解があったと思うのです。しかし、その暗黙の了解自体をトランプさんはことごとく壊しているから。それは世界中でそうなのですけれど・・・。その意味では中国は、トランプさんをやりにくい相手だと思っているでしょう。民主党のバイデンさんの方がはるかにやりやすいと思っていますよ。
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