ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月16日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。タワーマンションが抱える問題について解説した。
台風19号で考える、タワーマンションに住むということ
森田耕次解説委員)台風19号は各地に爪痕を残しましたが、都会の意外なところにも被害がありましたね。
増山さやかアナウンサー)そうですね。最近人気の街、川崎市の武蔵小杉付近で、47階建てのタワーマンションの地下にある電気設備が浸水で壊れまして、停電・断水となり、一部のエレベーターが使えなくなりました。復旧には1週間かかる見込みということです。
森田)菅官房長官も16日に「対策を検討する」と述べていましたが、このタワーマンションの問題、上層階では1億円を超えるという華やかなタワーマンションは、投資用としても人気になっています。メールもいただいておりまして、「二子玉川や武蔵小杉といった人気の街。表面の華やかさの裏で、災害対策がおろそかになったというようなことはないのでしょうか?」ということです。
河合)タワーマンションは、特に都心部には土地がないということで、(郊外に数多く造成された)“ニュータウン”を天空に向かってつくっているようなものですね。
森田)一般的には高さが60メートル以上、もしくは20階建て以上のものを「タワーマンション」と呼ぶようですね。
河合)いま名前が挙がっていた武蔵小杉というのは、住みたい街ランキングでいつも上位に上がってきますね。タワーマンションの数も多く、11棟くらいあるという話ですが、一度にものすごい数の世帯が住むということで、街のインフラ整備が間に合わない状況です。もともと(今回の水害が起こる前から)JRの(武蔵小杉駅の)改札が混むなどの問題が起こっていたわけです。急激な人口増で生活排水も増えてくるなかで今回のような大雨が降ってしまうと、排水そのものが上手くいかなかった。そういうことも影響しているのでしょう。
森田)大抵のタワーマンションというのはスペースを有効利用するということで、配電盤は地下に設置されているようですね。
今回で災害で浮かび上がった課題
河合)駐車場もそうですが、(電気設備などは)水が入ることを想定していないので、耐震などを考えると地下や1階部分につくりがちですよね。今回は大災害がありましたが、そもそも災害がなくてもタワーマンションは危うい存在だと思います。ものすごい世帯数になるので、メンテナンスを含めて住民が高齢化をしてくると、きちんと修繕や管理ができるのかということが将来的に問題になるだろうと言われてきました。いずれタワーマンションにも空き家問題は起こるでしょう。とりわけ上層階はエレベーターが動かなくなると不自由です。5〜6階でも重い荷物を抱えて上がるのは若い人でも大変でしょう。
森田)高齢化が進むと、タワーマンションはますます大変な問題になるということですね。
河合)きちんと管理をして、住民同士が助け合うような環境を常日頃からつくっていれば大丈夫なのでしょうが、なかなか都会のマンションでは。隣に誰が住んでいるかもわからないことが多いのが実情です。
森田)高齢化すると、引っ越すのも大変ですしね。そういった問題が、今回の台風で浮かび上がってきたということですね。
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