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「同期のサクラ」3話、あまりにもよかったサクラ(高畑充希)と百合(橋本愛)の口論シーン 「ブス!」「二度と現れるな」(2/2 ページ)

「毒吐きたくなったら全部私が聞いてやっからよぉ!」本音をぶつけ合える同期。

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 祖父の柊作(津嘉山正種)は「いい人と出会ったな 本気で叱ってくれるのが本当の友達だ 彼女と別れるな」とサクラにFAXを送った。「いつまでも夢ばっか見てないで、そろそろ目覚まして現実を見たら?」という百合の言葉は、悲しいかな真実でもある。人生はDreams Come Trueとは限らない。本音をさらけ出して叱ってくれる百合は、サクラにとって貴重な存在だ。じいちゃんの言う通り、彼女は百合と別れるべきではない。

 百合もサクラと別れるべきではない。「ブスブスブス」の連呼の後、サクラは何を言ったか

 「今のあんたらったらどこ行ったって今の繰り返しらすっけ。結婚したっていい奥さんのふりしながら、やっぱここも自分の居場所じゃねえとかグチグチ言い出すに決まってんだわんね! あんたみたいに幸せの種もまかねえで花咲かそうったって無理に決まってんねっけ。もう無理して笑うんはやめれ? そのまんまのあんたでいたらいいらん。もし誰にも言えねえような毒吐きたくなったら、全部私が聞いてやっからよぉ!」

 サクラの口から出たのは、百合を思う言葉ばかりだった。

 百合は退職を思い直した。明らかに婚約者のことを好きではなかった百合。しつこいメールにうんざりし、電話が来たら声色を変えて会話。唯一受かった一流企業だからと花村建設へ入社したように、医者だからという理由のみで交際していた。「結婚したっていい奥さんのふりしながら“やっぱここも自分の居場所じゃない”とグチグチ言い出す」とサクラが言う通りの未来が目に浮かぶ。彼女は退職したかったのではなく、逃げたかっただけなのだ。退職祝いにもらった花束を「私嫌いなのよ、百合の花」と土井蓮太郎(新田真剣佑)に預けた百合。「今の自分が嫌い」という百合の心中を、あの場面は暗喩(あんゆ)していた。

 両親にも彼氏にも本音を隠していた百合。でも、サクラに対して嘘はなかった。地震が来たとき、百合はデスクの下でサクラにしがみついた。心配する母親に「友達の家に泊まるから大丈夫」と百合はメールで返信した。サクラは始めからかけがえのない存在。それに気付けて、素直になれただけだった。

 サクラと百合が2人で写真を撮ったとき、つきものが取れたように全然違う顔になっていた百合。すごくかわいく見えたのだ。いや、橋本愛は始めからかわいいのだけど。


同期のサクラ サクラを大切に思う同期の相関図 イラスト/まつもとりえこ

サクラは絶対正義じゃない

 2話で清水菊夫(竜星涼)を勇気づけ、3話で百合を素直にさせたサクラ。なのに、彼女自身はドンドン希望の部署から遠ざけられていく。「いい建物を造れば優秀な人材は集まる」と信じる愚直なサクラ。その愚直さは百合を変えたが、サクラは必ずしも絶対正義じゃない。クライアントを怒らせて社史編纂室へ異動させられたし、その前は空気を読まぬ発言で人事部預かりの身分になっている。

 黒川は確かに「ほとぼりが冷めたら人事部に戻す」と言った。サクラの行く道には明るい未来が待っていると思いたい。しかし、2019年の彼女は意識不明のままだ。納得のいかないことがあると「スーーーーッ」とサクラは息を吸う。なのに、今のサクラは人工呼吸器に繋がれており、自力で息を吸うことさえできない。

 百合に叱られ、黒川に見守られることで成長したであろう10年後のサクラの目覚めを望まずにいられないのだ。

寺西ジャジューカ

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