富士の樹海を目指すお姉さんが出会ったのは、世にも不思議な馬でした――。癒しと尊さが4ページにギュッと詰まった漫画「馬タクシー」を紹介します。こんな優しい世界があってもいい。
無気力な表情でタクシーを待つボサボサ髪のお姉さん。彼女が偶然つかまえたのは、「どうも馬タクシーです」と現れた紳士な馬でした。
「100キロあたりニンジン1本」と破格の安さの馬タクシーに跨ったお姉さんは、変わらないテンションで「青木ヶ原樹海まで…」と頼みます。目的は昆虫採集だそうですが……?
寒い真冬に独りで樹海。「お客さんもしかして…」と察して説得を試みる馬でしたが、お姉さんのプレッシャーに負けて話を切り出すことができず、頑張りむなしく目的地に到着してしまいます。
お姉さんは「ニンジン千本くらい買えるよ」と5万円を馬に握らせ樹海の奥へ。「馬乗ったの初めてだ 最後に面白い人生だったな…」と少しだけポジティブになりながらも、当初の目的通り“凍死コース”を選びます。
寒さに震えながら意識を失ったお姉さん。次に目覚めたのは天国でも地獄でもなく、藁(わら)のベッドが敷かれた馬小屋でした。隣では「頂きすぎた代金分 勝手に走っただけですよ」と馬タクシーがニンジンを齧っています。
ですが九死に一生を得たにもかかわらず、お姉さんは喜ぶどころか暗い表情に。丸2日寝ていたことを知り「上司から罵倒LINE来まくってる」「これが見たくなくて死のうと思ったのに〜」と悲鳴を上げます。お姉さん、会社でずっと苦しんでたのね……。
そんな様子を見た馬は「見ちゃったからもう死ななくていいのでは?」とほほえみます。優しい提案を聞いて「……馬はかしこいな…」と納得するお姉さん。大きく伸びをしながら「生まれ変わった気分だよ…」と気持ちよさそうです。
その後、2人(1人と1匹)はどうなったのでしょうか?
お姉さんの手助けにより馬を呼び出せる配車アプリが完成。「ニンジン1本」という赤字価格も見直して、馬タクシーは死ぬほどもうかるサービスに(めちゃめちゃ有能……!)。こうしてお金持ちになったお姉さんと馬は、小さな馬小屋で幸せに暮らすのでした。「お金持ちになったのに引っ越さないんですか?」「ここはあったかいしね」
漫画には、たくさんの「好き」や「尊い」の声が寄せられ、中には物語の温かさに涙したという人も。
作者は漫画家の時田(@tokitadesu)さん。代表作『JKども、荒野をゆけ』は、飛び交うJK用語と独特の世界観がクセになるSFコメディーで、第1巻が発売中。少年画報社の公式サイトから立ち読みが可能です。
画像提供:時田(@tokitadesu)さん
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