業績が低迷する大塚家具は12月12日、ヤマダ電機と資本提携を結び、ヤマダ電機が大塚家具を子会社化すると発表しました。2016年から営業赤字に陥っている大塚家具はヤマダ電機から資金を調達しつつ、ヤマダ電機の販売力を活用して経営再建を目指す考えです。
大塚家具は、ヤマダ電機を引受先とする第三者割当の新株発行・新株予約権発行で総額約66億円を調達。ヤマダ電機の議決権割合は最大約58%となります。
大塚家具は調達資金の使い道として、「高価格帯の家具の販売にはブランドイメージが重要であるところ、ヤマダ電機との協業を深化させるため、当社としては、ブランドイメージ回復が必要であると考えております」として、3年間で13億円を広告に投じるほか、9000万円を中国事業に充てるとしています。
大塚家具は19年2月にヤマダ電機との業務提携を発表。家電と家具の販売で相互に協力するという内容ですが、現時点では提携による売り上げは拡大する途上にあり、まだ規模は小さいとしています。ただ、提携で「ヤマダ電機やその子会社の顧客に対してもその店舗等を通じて家具販売について営業活動を行い、販売促進、ひいては売上高の増加と営業黒字化を目指すことが可能になる」としています。
株価は正反対
「ヤマダ電機が大塚家具を子会社化へ」というニュースは12日午後の株式取引スタート直前に報じられました。
午後の取引がスタートすると大塚家具(東証JASDAQ)には買い注文が殺到。ストップ高(値幅制限の上限)となる前日比50円高(+30.86%)の212円に急騰しました。
一方のヤマダ電機(東証1部)は、午前には前日と同水準で推移していたものの、午後には一転して急落。結局、9円安(-1.55%)の570円で取引を終了し、大塚家具とは対照的でした。
キャッシュフローの悪化で資金難に陥っている大塚家具にとっては、家電量販最大手との資本提携はポジティブなニュース。一方で、調達資金をまず広告展開に使うという大塚家具の経営再建のイメージは見えず、ヤマダ電機の家電販売事業との相乗効果が上がるのかは未知数で、ネットでは「ヤマダ電機はお荷物を抱え込んだのではないか」といった懸念も聞かれます。株価はこうした思惑を正直に反映したようです。
12日終値ベースの株式時価総額は、大塚家具は約60億円、ヤマダ電機は約5509億円です。
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