ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月9日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。70歳までの就業機会の確保を企業に求める関連法案について解説した。
70歳就業〜通常国会に提出
厚生労働省は8日、高齢者が希望すれば70歳まで働き続けられる制度の関連法案をまとめ、諮問機関で大筋了承された。法案は2021年4月から企業の努力義務となり、20日に召集予定の通常国会に提出される。
飯田)改正法案は従業員数301人以上などの大企業が対象となり、中途採用の比率などをホームページで公表することも義務付けられるということです。現在は65歳までは雇用するということがありますが、さらに70歳まで。
鈴木)このテーマをどう捉えるか。捉え方によって、随分変わると思います。どういうことかというと、「70歳まで働ける環境をつくりましょう」というのは、俗に言う働き方改革です。平均寿命が延びて100年時代だと言われるなかで、「働くことのできる年齢を伸ばして行きましょう」という働き方改革だという見方もできます。
年金や医療などの社会保障とセットにするべき
鈴木)しかし、私はここに年金や医療、介護という社会保障がセットにならなければ、大変なことになると思います。そのセット論の視点が政治には欠けています。70歳まで働けるのはよいことです。でも、人生100年という言葉も含めてバラ色のように聞こえますが、もしかするとその半分以上の方が持病を持っていて、体調が悪い可能性もある。むしろ実際はそうなのです。1人暮らしのお年寄りもいる。こういう方たちが「働け、働け」と言われても無理です。そういう方たちが本当に必要なのは、年金や医療費の補助です。
年金の受給は75歳から?
鈴木)70歳まで働くということだけを見ていると、70歳まで厚生年金を納めるのですかと。70歳まで働けることが世の中の常識になったら、年金がもらえるのは75歳になるかも知れません。このあたりが不透明なのです。70歳就業だけが突出しているのを見ていると、年を取って体が悪くなっても働けということかと思ってしまいます。年金の支給時期を、さらに後ろまで持って行くことにつながる可能性もあります。ですので、これを行うのであれば年金はどうするのか、そういうことも含めて議論する必要があります。年金の財源はどうするのか。安定しているのは消費税のみなので、大変だけれど、20%まで上げるのか。それならば、「その代わり私たち政治家も、定数を削減して身を切ります。ですので、この厳しい時代をみなで何とか乗り切って行きましょう」というように、全体的に考えなければなりません。それにも関わらず、ここだけが突出していることに私は危険な部分を感じます。
飯田)サラリーマンは天引きで気づくことが難しいのですが、すでに社会保険料はかなり引き上げられています。そこに消費増税まで乗って来ると、現役世代はきつくなりますよね。
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