1939年刊行の解説書『日本刀』(岩波新書)がおよそ80年の時を経て電子書籍化。旧字体の漢字を新字体に直すなど、読みやすくなって3月26日より配信されます。価格は920円。
「刀剣乱舞の力はすごい……」と感嘆のツイートを投稿した岩波新書編集部に、電子化にあたってのこだわりを尋ねました。
同著は日本刀研究者であった本間順治が、日本刀の基礎知識から取り扱い方法、「村正は妖刀か」といったコラムまで多岐にわたり執筆した解説書。2019年10月に76年ぶりの復刊を果たした際は、ゲーム「刀剣乱舞」の人気も後押しし、岩波書店オンラインショップに注文が殺到する事態となりました(関連記事)。
岩波書店によれば、復刊以降の販売部数は累計約1万5000部。一時は『広辞苑』に次ぐ最大級の注文が届いたとのことで、予想外の反響に驚かされたといいます。
電子書籍化については「紙版での復刊は、古書をスキャンして製作したため、活版印刷のフォントや旧字体の漢字など、かつてと同じ版面での復刊となりました。今回の電子書籍化では、全文章を読みやすい現代の漢字で入力しなおしています」とコメント。
「SNSでの感想はできるだけチェックするようにしているのですが、旧字体による活版印刷の版面を喜んでくれる読者がたくさんいた一方で、漢字が難しい、字がつぶれて読みにくい、という感想もたくさん頂きました」と、電子化に至った理由を述べました。
電子化作業に携わった担当者にこだわりを尋ねると、「特に注意したのは固有名詞です」「どの漢字が要修正なのかは、これまでの経験則に依るところが多いです。これは、という字を見つけては、漢和辞典で確認し(電子辞書の手書き入力が便利でした)、正字か俗字か、旧字か新字か、JISコードにある字かどうか見て置き換えました」とのこと。歴史の教科書などに登場する単語は、以下のような見慣れた形に修正されています。
「豐臣」⇒「豊臣」
「有樂」⇒「有楽」
「關ケ原」⇒「関ケ原」
また、明らかな誤植や間違いも併せて修正。江戸時代以前の「大阪」の表記を「大坂」に、用語解説に登場する「鱮腹(たなごはら)」の表記を正しい字に直すなど、余計な“解釈違い”を招きそうな箇所に手が加えられています。
電子書籍版『日本刀』は3月26日発売。Amazon.co.jpなど各種電子書籍プラットフォームにて配信されます。
取材協力:岩波書店
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