ネコリパブリック(Twitter/Facebook/Instagram)は猫カフェの入場料やイベント収入を中心に運営する「自走型保護猫カフェ」。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による政府の自粛要請で、主催するイベントネコ市ネコ座は延期。また、緊急事態宣言を受け、全国の保護猫カフェ7店舗全てを休業中です。ネコリパブリックが経営するサビ食堂はテークアウト専門に、ネコリパブリックのアパレル雑貨ブランドを販売するNECOREPA STORE 蔵前店は休業、NECOREPA STOREはオンラインのみの営業となっています。
「今までのやり方では無理になってきている」と言うネコリパブリック代表、河瀬麻花さん(以下、河瀬さん)に、休業中の猫たちの様子や今後の取り組みについて聞きました。
休業中もかかる保護猫カフェの固定費
来店すれば猫と触れ合える猫カフェは、猫にとっては生活の場。営業・休業にかかわらず、家賃・光熱費・ご飯代・医療費・世話をする人間の人件費といった固定費がかかります。
「東京や大阪など大都市の店舗では月100万円弱、地方都市では月50万〜60万円かかります。平均すると一店舗当たり80万円くらいですね」(河瀬さん)
もし外出自粛が長引いたら……。保護猫カフェや保護猫はどうなる?
外出自粛が長引けば、一方的に固定費が出ていくばかり。当然運営は厳しくなりますが、当初5月6日を期限としていた緊急事態宣言も延長する方針と伝えられ、先行きは不透明です。
「緊急事態宣言が6日に終わり、翌日7日からカフェを再開できるとは思っていません。たとえそうなったとしても、今までとはいろんなものごとのあり方が変わってしまうと思うんです。でもネコリパブリックが必要な場所であることは変わらない。これからも保護猫活動をする人と、保護猫を飼いたい人をつなぐ場であり続けるために、形を変えながら生きのびたいです」(河瀬さん)
困難な状況の中、運営継続のためサポーター募集を開始。クラウドファンディングも計画しており、オンラインでサービスの必要固定費を賄おうと動いています。とはいえ、仮に外出自粛が夏まで続いた場合、7店舗の営業継続には「今集まっている継続寄付の10倍の金額が必要」だといいます。
「どのお店も締めたくはありませんが、しめざるを得なくなることの可能性はゼロではありません。ただ、なんとか継続させたいという思いがあるので、とにかくなんでも捨て身でチャレンジするつもりです」(河瀬さん)
もし閉店する店舗が出てきても、猫の保護は“多店舗展開の強み”を活かして継続されます。店から撤収するまで猫たちの譲渡先をじっくり探し、里親とのマッチングに成功しなかった際は営業中の店舗に移動するという手順です。
他の保護猫カフェや保護猫ボランティア団体と連携しているため、どこかが窮地になれば「こちらは何匹までだったら受け入れられます」と連絡をとりあうことも。ネコリパブリックを含む多くの団体の人たちが、「保護猫の生活を守り続けたい」という強い気持ちで助け合っているようです。
休業中も、在籍猫の里親探しは継続中
休業中の店舗では猫たちの生活の世話だけでなく、里親への譲渡も継続されています。
「外出が自粛されているためか、里親希望の方が増えていますね。今までお客さんとして通っていた人が『この機会に家に来て欲しい』とおっしゃってくれたこともありました。家に保護猫を迎えることで、豊かになれるのだと思います」(河瀬さん)
オンライン上で気になる猫を見つけた人には、アンケートに回答後来店してもらい、面接を受けてもらうことになっているとのこと。他のお客さんがいない貸し切り状態の店舗を予約して来てもらい、徹底した消毒と、スタッフとのソーシャルディスタンスを守ってもらうなど、コロナウイルス感染防止に努めているそうです。
「保護猫カフェ運営」という立ち位置から社会に求めること
猫たちの保護を続けながら、新しい形で収益を生み出そうと試行錯誤するネコリパブリックですが、他の飲食店同様、休業がどれだけ続くか分からない中で固定費の負担は大きく、「感染拡大防止協力金」が必要だと強く感じるとのこと。また、長年猫の保護に携わってきた河瀬さんは次のように語ります。
「保健所が新型コロナウイルスに関係する業務で忙しいと、収容している動物のことが二の次になってしまうのではないかと心配です。通常では譲渡対象の猫が殺処分になる、ということが起こらないようにしてほしい」(河瀬さん)
さらに、ペットショップの売り上げが伸びているという話を耳にした河瀬さんには気掛かりなことが。
「外出できない『巣ごもり』状態だからと、犬猫をペットショップで買う人は、最後まで命を飼えるのでしょうか。ネコリパでは譲渡を求める人に面談をしますが、そうではなく、気軽に命を買えるような状態ならば心配です。忙しくなったなどの理由で、捨てられてしまうことはあってはいけません」(河瀬さん)
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