ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月3日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。キャッシュレス決済のあり方について解説した。
キャッシュレス決済〜ポイント還元制度6月末で終了
経済産業省は2日、キャッシュレス決済の事業者が加盟店から受け取る手数料を、リスト化して公表する方針を固めた。消費税の増税に合わせて導入したポイント還元制度が6月末で終了することから、加盟店からは、7月以降に手数料が引き上げられることを懸念する声が上がっている。
飯田)近所のスーパーでも、「6月末までですよ! キャッシュレスの還元は!」というポスターが張り出されています。
海外に比べて高い日本のカード手数料〜入金が遅い
佐々木)日本のカード手数料が高いという問題は、以前から指摘されています。海外は1〜3%くらいだから、1000円使うとお店が10〜30円くらい払うことになります。これが日本では、店によって多いところだと7〜10%と言われています。
飯田)しかもお店によって条件が違うみたいですね。
佐々木)大手はかなり安いです。コンビニはカード手数料が1%くらいです。これが飲食だと5%になる。
飯田)審査まで時間がかかるし、厳しいという話を飲食店の人から聞きました。
佐々木)コロナの影響で飲食店はお金がショートして、手持ち資金がなくて大変ですからね。クレジットカードだと支払いが遅いのです。
飯田)入金が遅くなるのですよね。
手数料が安く、入金も早いQRコード決済の電子マネー
佐々木)月末締めで翌月末、1ヵ月先だったりする。ところが、PayPayやLINE PayのようなQRコード決済の電子マネーが、ここ最近で特に増えていますが、あれは手数料が安いのです。PayPayは翌日、もしくは翌々日支払いなのかな。入金も早いのです。こちらが主流になって来ると、店側の負担も小さくなります。特にQRコード決済に関して言うと、我々がQRコード決済のアプリが入ったスマホで、お店のバーコードをカメラで読み取るだけで支払いが完了します。そのやり方だと、お店側はバーコードリーダーがいらないので、自分のお店のバーコードを貼っておけばいいのです。最近はPayPayのコードが貼ってある無人野菜販売所なども出て来ました。自分で「ピッ」とやって、カボチャを100円くらいで購入することができるのです。
飯田)募金箱の代わりにPayPayで「ピッ」とやると。
手数料の可視化も必要
佐々木)それだと店側の負担がほぼゼロですよね。しかも手数料も非常に低い、もしくは無料据え置きだったりするので、こちらが普及して来れば、そんなに問題はなくなるのかも知れません。お客さんの側も「店に対して貢献してあげたい」と思ったときに、手数料を店がいくら払っているのかわかれば、「わざわざクレジットカードで払わなくても、ここは手数料が安いQRコード決済で払ってあげよう」などと判断できるから、そこはある程度、可視化することは大事な作業なのだと思います。
飯田)たしかに。スーパーの商いの社長に話を聞いたとき、「正直な話、キャッシュレスの還元でいろいろなものを導入したのだけれど、その資金が回らなくなってしまうから、『できれば現金でお願いします』というポスターを貼ったんですよ。そうしたらみんな粋に感じて、『じゃあ現金で払うよ』という人がいたんだよね」と話をされていました。中小の小売にとっては資金が回らなくなるのが、いちばん怖いのですよね。
佐々木)飲食などの、利幅が1割も行かないビジネスで、クレジットカードの手数料で何%も取られていたら、利益が消滅してしまいます。特に、いまはコロナの影響でできるだけ接触しない方がいいとなると、現金よりは触らないで済むQRコード決済で、またはSuicaのような電子マネーの方がいいに決まっているわけです。たくさんの人が使えば手数料も下がって行くでしょう。そちらに移行して行くのが健全な姿なのではないかと思います。
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