新人漫画家・ヤマモトヨウコ(@YY0905)さんによる、自分を人間だと思っている柴犬が主人公の漫画『柴ばあと豆柴太』の連載です。講談社協力のもと、ねとらぼ生物部では日曜日に最新エピソードを掲載。漫画本編は次のページからすぐに読めます。
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前回の第2話では、柴犬「豆柴太」が“恋人”と呼ぶ、まだ若くやさしい高校教師の「ひろこ先生」が登場。大切な人を震災で亡くした彼女が心に抱えている思いと、涙混じりの前向きな笑顔に心打たれるエピソードが語られました。
第3話のサブタイトルは「豆柴太、家出をする」。みんなに構ってもらえずすねてしまった豆柴太が、隠れた先で火事に遭い……? 災害から“あの日”を思い出す、柴ばあと豆柴太。そして今回は、この東北の町の消防士が抱えている思いが描かれます。
豆柴太の柴ばあへの熱い気持ちと、消防士の苦しみと悲しみ
弁当屋を営むおばあちゃんの「柴ばあ」と豆柴太は、今日は畑仕事の日。近所の人たちも手伝いに集まってくれたことに、「みなしゃんボクのことが好きでつねー」とニコニコする豆柴太でしたが、誰一人構ってくれないことにグレて、近くの小屋に隠れてしまいます。「もー知らない」とすねる姿があいらしい。
しかし、勝手に扉の鍵が閉まってしまい、さらに小屋が燃える火事が発生。あっという間に火に囲まれると、豆柴太はどんどん体力が奪われ、その地獄のような光景に9年前の“3.11”を思い出します。
恐怖で心も弱っていく豆柴太でしたが、あの日の柴ばあとの出会いや「おめはずっとそばにいてけろよ……」と泣きながら抱きしめられた日々を思いだし、「ボクが守らなきゃ!!」と立ち上がります。自分の絶望的な状況にもかかわらず、「もうひとりになんか させられない」と柴ばあのことを思い前に進む豆柴太がかっこよく、その力強い姿に涙がこぼれます。
そんな豆柴太を助けたのは、消防士の「阿子島和人(あこじま かずと)」。この町の人に頼りにされ、普段から「ヒーロー」と呼ばれている彼は、柴ばあに感謝ともに体の火傷を心配されると「消防士として当然のことをしたまでっスから」と笑顔で返します。そして同時に、「…むしろ、全然足りないくらいっスよ…」となぜか苦しそうで、悲しい匂いのする表情を見せます。
自分の手のひらを見つめる阿子島。それは過去にあった辛く苦しい闘いの記憶を思い出しているようで、自然と“あの日”起きたことを想起させます。現地の消防士がどれだけ壮絶な体験をしたかは、ここでは阿子島の表情から想像するしかありません。ですが、最後に火事で“丸焦げになったネギ”がおいしくなることに驚き、柴ばあに「海風でたくましく育った福音の野菜は強いのっしゃ!!」「傷ついだって何度でもやり直せるのっしゃ!!」と言われたとき見せた、阿子島の光を見つけたような表情からは、彼の心の動きが強く伝わってきます。豆柴太と同じく、力強い柴ばあの言葉が染みる……。
次回は7月19日更新。豆柴太の4コマ漫画を掲載予定です。
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