学園に異形の生物が現れたり、能力者たちがバトルする漫画の「あるある」を、真っ向から無視する体育教師を描いた作品の破壊力がすごいです。作者は、酒井大輔@漫画描く人(sakai0129)さん。
主人公は、ゴリ先(ゴリラ先生)と呼ばれる体育教師。一連のシリーズは「○○で真っ先に死ぬタイプの体育教師」というタイトルで投稿されており、第1作目は「『学園パニックもの』で真っ先に死ぬタイプの体育教師」でした。
とある私立高校の正門で、ゴリラ先生は登校する生徒の持ち物チェックをしています。女子生徒が携帯ゲーム機を持ってきたのを見つけると、没収のうえ、きつく叱りつけます。
次に並んでいたのは、得体の知れない人型の生物。異界からまぎれこんだような、妖気を放っています。しかし、ゴリ先は気付かぬ様子で「制服はどうした!」とバケモノを問い詰めるのでした。いや、先生……。
「そいつ、本当に人間?」と言いかけるも、ゴリ先は、口を開けた異形の者に頭から「バクっ」と喰われてしまいます。「イヤな奴ほど、冒頭で死んでしまう」という学園パニックものの鉄則でしょう。
ところが、ゴリ先は噛みついた巨大な口を内側からこじ開けると、バケモノの口に「舌ピアス」を発見。「学校なめとんのかお前!!」と、何事もなかったかのように、バケモノを叱りつけるのでした。「あるある」を知らない体育教師だったから、助かった?
この予想の斜め上をいく展開に、読者からは「この教師は本当に人間か?」「フラグクラッシャー感ある」といった声があがる一方で、「校則には厳しいけど、生徒のために動いてくれそうな先生感ある」と、体育教師ゴリ先に頼もしさを見出だす人も。
「いいね1万超えで続きを描こうと思っていた」という作者の酒井さんは、本作が好評を博したのを受け、作品をシリーズ化しています。
続く2作目の「デスゲームもので真っ先に死ぬタイプの体育教師」では、授業中、教卓の上に突如、しゃべる人形が登場。いきなりクラスを巻き込んだ死のゲームを開始します。「学校は遊び場じゃない」と声を荒げたゴリ先は、いの一番にどタマを吹っ飛ばされるのですが、「ありがち」じゃない展開に。
さらに第3作「バトル漫画の中盤辺りで出てくる敵キャラに真っ先に殺されるタイプの体育教師」は、特殊な能力を持つ生徒が跋扈(ばっこ)する学園が舞台です。廊下で体育教師ゴリ先とぶつかった女子生徒が「ジガバネ」と名付けられた魔物を召喚。ゴリ先を丸ごと飲み込ませて、あっけなく終了……と、思いきや……。
また、2、3作目には「おまけ」の漫画があり、物語の裏側をちらっとのぞき見したような気持ちになれます。
作者の酒井さんは、このシリーズのほか、1960年代の仙台を舞台にした作品「1967仙台娘」などをTwitterで発表しています。
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