「これは、私が知っている村社会です」――福岡県のある田舎で生まれ育った作者が「村社会の3つの特徴」を振り返る漫画が、Twitterで共感や驚きなどさまざまな反響を呼んでいます。特に3つ目は重い話だ……。
投稿したのは、漫画家・イラストレーターの新月ゆき(@Shingetsu_yuki)さん。現在は東京都在住で、Twitterとnoteでエッセイ漫画やイラストと文章による体験レポなどを公開しています。
まず村社会の特徴の1つ目として挙げているのは、プライバシーが筒抜けな点。特に仲が良いわけではないひとの家でさえも、リアルタイムな情報(例えば勤めている会社や彼氏・彼女の有無、夫婦ゲンカの理由など)を「知ってて当然」と話す母親に、「私のこともよその家で話題になっちょうんやろか?」とゾクリとした体験を描いています。
特徴2つ目は、土地・先祖代々の人間関係があること。例えば初めて会う人でも、「苗字」だけで本家の住所や家族構成が分かってしまうということがあります。
新月さんの場合、病院などの名前を呼ばれる場所で知らない人から話しかけられ、「どこどこ(本家の住所)の?」「もしかして○○さん(父親の名前)の娘さんね?」と聞かれ、最終的に「あーゆきさんねー」と言われたことがあるそうです。ちなみにその人は新月さんの父親の家の知り合いでした。
そういった血や土地で人がつながっている村社会の“あたりまえ”の中で、新月さんはある日の出来事で、村には2種類の人間がいることに気がつきます。その出来事とは、母親が、外から引っ越してきた30代の夫婦のことを、監視するような怖い目で見ていたこと。トラブルはないものの、村から得る情報が少ない「得体の知れない者」として恐らく警戒していたのであろう母親の姿は印象的です。
最後の特徴3つ目は、よそ者はよそ者。そして上記の2種類の人間とは、「村の人」か「よそ者」か。漫画では、新月さん自身も引っ越してきた夫婦のことを“新しい人”と潜在的に意識していたことが描かれ、その“よそ者”がいつ村の人になるのかという疑問について、「……たぶん死んでから」ではないかと想像する、重い話になるのでした。亡くなった2人の子どもが村に住み続けて、ようやく村の人になる――これはあくまで1つの考えですが、それだけ“よそ者はよそ者”という空気を、その村社会で生まれ育った作者が感じているのが分かるお話でした。
コメントでは、3つ目の特徴に「強い衝撃を受けました…!」といった声から、「地元がまさにこんな感じ」「田舎に住んでるからわかる」などの共感の声が寄せられ話題に。その後、新月さんは「10〜20代の頃は、(他人との)この距離感が息苦しかった」とツイートしつつ、一方で「助け合い精神が強い」といった村社会の別の特徴を挙げ、「村の誰かが困った時は、周囲の人間が助けようと動きます」と、村の人々の温かい面についても触れています。
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