海外旅行ガイドブックの老舗『地球の歩き方』が、シリーズで初めての国内版「東京」を発売しました。ネットには「コロナで東京から脱出できなくなったから、地球の歩き方で初めて『東京版』が出た」とのウワサも流れていますが、実際はどうなのでしょう? 発売元のダイヤモンド・ビッグ社に聞きました。
発行は9月1日。昨今の状況を踏まえると、“海外旅行ガイドブックも売れ行きが落ちていて、苦肉の策として『東京』編を出版したのかな?”なんて邪推してしまいます。ところが、事情を聞いてみると、企画が決まったのは1年半前。新型コロナウイルスとは一切関係なかったそうです。もともとは2020年に開催予定だった東京五輪に向けて考えられたもの。『地球の歩き方』が2019年で創刊40周年を迎えることもあり、シリーズ初の国内版を出してみようと決まりました。
内容はさすがの老舗ガイドブック。460ページを超える圧倒的情報量を誇ります。巻頭特集は「大江戸文化を学ぶ、伝統工芸にチャレンジ」「東京さくらトラムで、下町路面電車旅」「文豪たちが愛した名店と味」など、なんとも渋いラインアップ。
地球の歩き方が40周年であることにもちなみ、長年愛されているもの、老舗のお店、江戸文化などを中心に紹介しています。江戸文化体験、東京発祥グルメ、名所旧跡・文化財巡り、銭湯特集、東京最古の酒舗などがその例に挙げられます。
さらなるこだわりポイントは、地球の歩き方らしさを前面に出し海外版と同じデザインフォーマットにしたこと。東京に住んでいる人が見ると交通案内はていねいすぎるほど。「電車が到着したらドアの両脇に寄り、乗客の降車が済んでから乗り込む」なんてマナーまで掲載しています。
売れ行きは絶好調。すでに重版が決定しています。「エリアガイドブックで、ここまで早く重版になることはなかなかない」と担当者も驚いている様子。その要因について、以前から地球の歩き方ファンだった読者には、海外旅行に行けない今、地球の歩き方が東京を出したと面白がってもらえていると分析しています。
さらに「本の厚さやボリューム感、渋すぎる特集テーマやていねいすぎる交通ガイドや準備と技術編など歩き方らしさを楽しんでいただいている」と感じているといいます。
企画としては、ほかの地域から東京に旅行に来る人も読者として想定していたそうです。予想以上だったのは、東京に在住・通勤している人や東京近郊に住んでいる人からの需要。「近場のお出掛け・散策によさそう」「知っているようで知らなかった東京が載ってる」「読んでいるだけでも楽しい」などの声が多数寄せられています。
さらに、読者だけでなく、掲載物件・施設からも「このコロナの厳しい状況だけど、こういう機会にこのような形で魅力発信ができてうれしい」とメールや手紙が多数届いています。もともとはコロナ禍とは関係ない企画だったとはいえ、喜ばしい効果が出ているようです。
他の地域でも出す予定があるか聞きましたが、現段階で具体的な計画は固まっていないとのこと。けれども編集部には「ここも出してほしい」という声が多数届いているそうです。
媒体概要:
書名:地球の歩き方J01『東京』2021-22年版
定価:本体1836円+税
仕様:A5並製 464ページ+別冊マップ オールカラー
(高橋ホイコ)
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