【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年11月5日)
奥羽本線(山形線)の普通列車が、峠駅から山を下りて来ました。
福島〜米沢間の板谷・峠・大沢・関根の各駅に停まる普通列車は1日6往復のみ。
かつては赤い電気機関車が牽引する客車列車が各駅でスイッチバックを繰り返しながら運行されていましたが、平成4(1992)年の山形新幹線開業以降は、レール幅1435mmの標準軌仕様とした719系電車が活躍しています。
板谷、峠、大沢の各駅には、いまもスイッチバック時代の遺構が残されており、経済産業省の「近代化産業遺産群」の指定を受けています。
板谷駅は米沢市にありますが、中央分水嶺より東側にあるため、この辺りに降った雨は、阿武隈川を経由して太平洋へ流れていくのが、ちょっと興味深いところ。
ちなみに、車のメインルート・国道13号(東北中央道)は、北側の栗子峠を経由します。(参考)山形県ホームページほか
秋に普通列車で板谷峠を越えるならお供としたいのが、米沢駅の「栗めし弁当」(850円)。
米沢駅弁「新杵屋」の駅弁は、「牛肉どまん中」をはじめとした“どまん中シリーズ”が有名ですが、じつは「幕の内弁当」をはじめとした、昔ながらの駅弁もつくられています。
栗の形をしたプラスチック製の容器に、栗が描かれた掛け紙がかかって、紐で結ばれた包装が、ノスタルジーを誘ってくれます。
【おしながき】
- 茶飯 栗甘露煮 椎茸煮 グリーンピース
- 蒲鉾
- 玉子焼き
- がんも煮
- 高野豆腐
- しそ巻き
- きゅうり漬け
- 大根漬け
ふたを開けると、茶飯の上に、ゴロゴロと甘〜い栗の甘露煮と椎茸煮、グリーンピースが彩りよく載っていて、旅気分を盛り上げてくれます。
がんも、高野豆腐といった渋めの煮物も優しい味わいで、令和のいまも、昔からの駅弁をしっかりと残してくれていることが、本当に嬉しく思います。
もしも、米沢駅待合室にある「おみやげ処よねざわ」で出会えたら、ラッキーかも!?
少し前まで南東北の主力として活躍した719系電車ですが、奥羽本線をのぞくと、あとは郡山〜喜多方間の観光列車などとして走る「フルーティア」を残すのみとなりました。
米沢と喜多方の間は、公共交通はないものの国道121号・大峠道路で結ばれています。
同じ醤油ベースのラーメンでも、米沢は細麺、喜多方は太麺となるのが面白いところ。
駅レンタカーなどで、米沢と会津を組み合わせて巡ると、旅の楽しみも広がりそうです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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