プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手が6月1日、開催中の全仏オープン2回戦棄権をSNSで発表。大会前に「アスリートのメンタルヘルスを無視している」と取材拒否を宣言し、1回戦勝利後の記者会見に出席せず、課された罰金や、大会追放もありうると今後の展開が話題になっていました。大坂選手は想定以上の騒動になったことへ戸惑いを告白し、大会や他の選手、また自身の健康のためにもここでしりぞくことが最適だと述べています。
大坂選手はグランドスラムを初制覇した2018年の全米選手権優勝以降、うつ病を患っていると公表。コート上でたびたび見せるヘッドフォンをした姿は、不安を和らげるための行為だと明かし今回の取材拒否も自分自身のメンタルを守るためだったと強調しています。ジャーナリストに謝罪しつつも、そもそも内気でメディア向きの性格ではなく取材対応がストレスだったとつづっています。
大坂選手はInstagramから取材拒否声明を削除し、タイミングを誤りメッセージも明確ではなかったと一部の非を認めています。また大会運営側へ、文書で謝罪したと公表。一方で現状の取材対応制度は「時代遅れ」と批判し、その点に注目してほしかったと強調しています。しばらくは休養期間に入るとしつつ、今後は選手とメディアだけでなく、ファンを含めた全ての人が満足できる形を模索していきたいと意欲を示しました。
大坂選手の声明には多くの反響が寄せられており、本人が敬愛するビーナス・ウィリアムズ選手は「あなたを誇りに思う。ゆっくり休んで」とコメント。次世代トップと目される若手ココ・ガウフ選手も「強くあり続けて。心の弱さも含めてあなたを称賛します」と先輩を鼓舞しています。第4シードで出場する強敵ソフィア・ケニン選手は「彼女の選択、やっていることを尊重する。多くはコメントしないけれど、誰にでも葛藤している問題がある」と述べました。
また1970年代に活躍した元トップ選手マルチナ・ナブラチロワもTwitterで「アスリートとして、私たちは身体のケアについては教わるけれど、もしかするとメンタルは軽視されていたかも。記者会見をやるやらないのでは問題ではない」と自身の見解を投稿。同じく1960年代から80年代まで活躍した往年の名選手ビリー・ジーン・キングは「うつとの戦いを公表するとは、とても勇敢なこと」とし、大坂選手の健康を気遣いました。
大会を主催する仏テニス協会のギルズ・モレトン会長は公式サイトで「大坂選手の棄権をとても悲しく、残念に思う。早期の回復と、来年の出場を願っている」とのコメントを発表。加えて四大大会、女子テニス協会、男子プロテニス協会、国際テニス連盟同様に、選手の健康は過去から今に至るまで改善へと取り組んでいる重要な事項であり、今後も努力し続けると強調しています。
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5月末開幕の全仏オープンで優勝すればグランドスラム3大会連続4度目の制覇。