バレたらポイント返還で一方的な幕引き? オンラインクレーンゲームが抱える問題点、業界大手5社に見解聞いた(2/3 ページ)
アミューズメント大手は「連続プレイ中の設定変更は不正」だと回答。
――「連続プレイ中の設定変更が行われているかもしれない」という疑惑や動画証拠などがねとらぼにも情報提供されているのですが、Aさん自身もこのような疑念を抱いたことはありますか。
Aさん:例えば私のような配信者の間では「YouTuberやVTuberといった著名人のみプレイが優遇されているのではないか?」という疑惑は長く取り沙汰されてきましたし、私自身もプレイ中の経験から、「もしかすると、連続プレイ中に設定変更が行われているのではないか?」と感じたことはあります。
――連続プレイ中の設定変更についてどう考えますか。
Aさん:クレーンゲームというサービスが営利的なものである以上、想定よりも早く景品が獲得された等の理由で台解放後に調整が加えられる可能性があるという点は理解しています。
しかし、筐体の調整はプレイヤーがプレイできない「メンテナンス中」に行うことが常識であり、課金途中である連続プレイ中にプレイヤー側に隠された状態で調整が行われるというのは起きてはならないことだと考えています。
――なぜ連続プレイ中の設定変更は起きてはならないことなのでしょうか。
Aさん:なぜプレイヤーが連続プレイをやるかといえば、それまでのプレイで、アームの調整や動きや特性を理解した上で、そのプレイと同等のサービスを受けられるという前提があるからです。そうした前提条件が崩れるのであれば連続プレイはしないユーザーがほとんどですし、いかなる理由があったとしても連続プレイ中の設定変更はあってはならないこと、つまり「不正」という見方が一般的だと思います。
続いてお話を伺ったのは実店舗、オンラインクレーンゲーム双方をプレイしているBさんです。
――プレイヤーに分からないように連続プレイ中に設定変更される、という事象は、それなりにあることなのでしょうか。
Bさん:一般的には、台開放されている筐体を調整する際には、メンテナンス画面を表示したり、メンテナンス状態であることを周知したりした上で、プレイヤーがプレイできない状態にしてから調整が行われています。
――連続プレイ中の設定変更についてどう考えますか。
Bさん:プレイヤーは思い通りの場所にクレーンを動かすためにプレイ代金を支払っています。それなのにプレイヤーには分からないように筐体の設定を調整されていたというのは、それまでのプレイと同じ動きをすることを前提に連続課金している私たちに対する不正行為ということになります。
――連続プレイ中の設定変更が仮に設定ミスや不具合に由来するものだった場合はどう考えますか。
Bさん:仮に連続プレイ中の設定変更がミスであったとしても、許されることではないでしょう。
こうした問題が発覚した際、多くの場合、運営会社はユーザーの意向とは関係なくポイントの返還をもって勝手に幕引きをはかることが多いです。しかし、そもそもクレーンゲームというサービスの根幹を揺るがすような問題が発生しているわけですから、“発覚したらポイント返還すれば許される”という性質の問題ではないと思います。こうした対応には私を含め、多くのプレイヤーが不満を持っています。
Bさんが指摘するように、運営会社が一方的にポイント返還を行いトラブルを強制終了させるケースについては、複数の情報提供が寄せられており、Cさんもそのうちの一人です。
――オンラインクレーンゲーム運営会社とのトラブルについてきっかけを教えてください。
Cさん:「ドラゴンボールGT ワールドコレクタブルフィギュア」という非常に人気の高いアミューズメント景品が投入された台を194回にわたって連続でプレイした際に、連続プレイ中の設定変更が疑われるケースに遭遇しました。
初期位置では景品をつかんで持ち上げていたのに、だんだんアームのパワーが下げられていったように感じた他、同連続プレイ中には奥行きの設定も変更されたのか、当初は奥までアームが動かせたのに、景品が獲得できそうになったあたりから手前しか持ち上げられないようになりました。
これにより、「持ち上げ」「押し」「引っ張り」など、どの技を使っても景品を動かすことができなくなったため、私は194回の連続プレイ終了後、景品の獲得を諦めました。
――運営会社には問い合わせましたか。
Cさん:はい。運営会社に対して、「獲得可能な設定であったのか」の確認と「返金を希望する」旨の問い合わせを行いました。すると「運営チームにて調査いたしましたところ、不具合が発生していたことを確認いたしました」との返答があり、利用期限付きのポイントが一方的に付与されました。
不具合の内容やその原因に対して納得できる説明がなかったことに加え、私としてはポイントの付与ではなく現金の返金を求めていたため、その後もメールにて運営会社に問い合わせを行いました。しかし、ポイントの付与後は運営会社が私のメールを無視するようになり、電話で問い合わせた際には担当者から「電話ではお問合せは受け付けていません。お話を聞くことはできますが、対応はできません」と言われるばかりでした。
――Cさんのケースが連続プレイ中の設定変更にあたるのかどうかは不明ですが、連続プレイ中の設定変更についてどう感じますか。
Cさん:プレイヤーはそのようなことが秘密裏に行われているとは夢にも思っていない中、連続プレイ中の設定変更が行われていたとすれば、それはプレイヤーに対する詐欺行為であり完全な不正です。
サービスの根幹を揺るがす連続プレイ中の設定変更が「ミスでした」で済まされるわけがありませんし、プレイヤーからすれば大切な1プレイなんです。理由はどうあれ「連続プレイ中の設定変更」が行われることは不正の他何物でもありません。
Aさん、Bさん、Cさん以外にも複数のプレイヤーから「連続プレイ中の設定変更は不正である」との理解が寄せられた今回の取材。運営側であるアミューズメント業界の大手は「連続プレイ中の設定」をどのよう認識しているのでしょうか。
連続プレイ中の設定変更とは:業界大手5社の意見
取材を申し入れたのは、「GENDA SEGA Entertainment」、クレーンゲーム専門店エブリデイを運営する「東洋」、「ラウンドワン」「タイトー」「イオンファンタジー」のアミューズメント大手5社です。
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