NHK夏休み子ども科学電話相談が五輪の影響で規模縮小→有志の「夏休みこども科学インターネット相談」が立ち上がる(1/2 ページ)
第1回から考古学者がエジプト文明を解説する豪華な内容。
五輪番組を放送するため、毎年恒例のNHKラジオ「夏休み子ども科学電話相談」が大幅に規模縮小。嘆きの声が上がる中、有志のYouTubeチャンネル「夏休みこども科学インターネット相談」が立ち上がり、盛り上がりを見せています。
発端は7月20日ごろ公式サイトに掲載された、「本年は東京オリンピック2020大会の放送などのため、夏休み子ども科学相談はありません」(※)との告知。この件はTwitterで広まり、「毎年楽しみにしていたのに」「それとこれとは話が別では」「オンラインなど別の形態でやってあげてほしかった」など、さまざまな反応を呼びました。
※本記事執筆時点では、記載内容が「本年は東京オリンピック2020大会の放送などのため、夏休み子ども科学電話相談は、8/8と8/22を予定しています」に変更されています
この動きを知って、「ネットを使って科学相談を有志でやろう」と思い立ったのが、考古学者のDr. RawheaD(@RawheaD)さん。子どもの質問を録音した音声ファイルを募集し、適切な専門家を探して回答をお願いする形で企画を進めました。
するとさっそく小学2年生から、「インカ文明ではエメラルドが大事にされていたと知りました。他の古代文明でも大切にされた宝石はありますか?」といった質問が到着。これを受けて、Dr. RawheaDさんは第1回の動画をわずか数日で制作し、7月25日に公開しました。
番組では専門であるマヤ文明のケースを自ら解説。さらに「世界ふしぎ発見!」でもおなじみの考古学者、河江肖剰(かわえゆきのり)さんもゲストとして登場し、エジプト文明のケースも紹介しています。
河江さんは4歳児の「書記座像は何を書いているんですか?」との質問にも、実物のパピルスをひもときつつ回答。初回から豪華な構成に、「子どもにも分かりやすいし、大人も楽しめる」「本物をすぐカメラ前に持ってこられる河江先生お強い」「子どもの質問を受けて、明らかにテンション上がってる先生が見られるのもいい」など、番組は好評を博しています。
編集部では、Dr. RawheaDさんに詳細を聞きました。
―― 短い準備期間での企画立ち上げは大変だったのではないでしょうか
Dr. RawheaDさん 幸い、回答者候補の先生方が次々と名乗りを上げてくれましたし、YouTubeチャンネル作りもささやかながら経験済みだったので、自分でもビックリするくらい早く進みました。やはりYouTube配信で一番大変なのは動画の編集ですね。これは以前のYouTubeチャンネルでもプロデューサー・エディター役を担当してくれた、実弟のDJマイケル(@DJMiCL)が買って出てくれたので助かりました。
―― 配信にTwitterスペースなどの音声媒体ではなく、YouTubeを選んだ理由は?
Dr. RawheaDさん YouTubeチャンネルを過去に作った経験が、選択の大きな理由の1つです。また、私自身を含め回答者に大学関係者が多く、パワーポイントなどビジュアルに重点を置いた講義に親しみがあるであろうことと、視聴する方もやはり、ビジュアルが伴った説明の方が分かりやすいことも多いだろうことも要因です。また、パンデミックで多くの人が慣れているであろうZoom会議が、質問の再生、スライドのプレゼンを含めた動画作りに適しているのもあります。
―― 初回配信後の手応えはどうでしたか
Dr. RawheaDさん 当初、自分でも良いアイデアだとは思ったのですが、反響は正直ちょっと思った以上で驚いています。「多少のアラは気にしないでいい」と見切り発車しましたが、なるべく皆さんの期待に、特にお子さんたちの質問に応えられる(答えられる)よう精進したいです。
夏休みこども科学インターネット相談への質問と、回答者候補の専門家は、全てGoogleスプレッドシートで公開中。それぞれ30以上集まっており、今後の放送も期待されます。Dr. RawheaDさんは回答者一覧について、「公開すること自体が、回答の正確性の保証になってほしい」との考えを示しています。
協力・動画提供:Dr. RawheaD(@RawheaD)さん
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