告白を決意した少女が異界に迷い込んでしまい…… 真夏の「青春」と「怪異」を描いた漫画が爽やかな読後感(1/2 ページ)
「神様」というのは人間の概念、当人たちは「ただそこにいる」だけなのかもしれません。
時期はまさに夏真っ盛り。学生時代の長い夏休みと言えば、皆さんにも1つや2つ、忘れられない思い出があるでしょう。
今回ご紹介する作品で描かれるのは、夏のある日、抜けるような青い空、ラブレターを手に緊張している女の子。読み進めるだけで爽やかな気分になれる作品なのですが……女の子にちょっとした「怪異」が訪れます。
夏のある日、丁寧に気を配りようやく完成させたラブレターを手に「今日、好きなあの人に告白するんだ」と意気込む女の子。ですが彼女に一陣の風が吹いて……手に持っていたはずのラブレターが、小さな謎の動物に持ち去られてしまいました。
手紙を持って逃げる謎の動物を、必死に追いかける女の子。あちこち逃げ回る動物を追いかけ回し……やがて彼女は行ったこともない、神社の前にたどり着きます。
動物が本殿へ入っていくのを見て、それを追いかける女の子でしたが、一歩を踏み出すと周りが真っ暗に……「異界」へ迷い込んでしまうのでした。
そこで女の子が目にしたのは、大木に巨大な人間の顔と手が付いて、結ばれたおみくじを頭から長く垂れ下げた、見たこともない「怪異」なのでした。動物はそれに駆け寄り、手にしたラブレターを見せ、怪異はそれによって女の子の来訪に気が付きます。
怪異は驚き険しい表情を見せますが、すぐに穏やかな様子へ戻り……動物が自身のために女の子を連れてきたのだ、と理解します。そして女の子へラブレターを返し、同時に「彼女がここに連れてこられた理由で、自分たちには解決できない困りごと」……手先が器用でない自分たちの代わりに、絡まった頭のおみくじをほどいてほしい、と頼むのでした。
おみくじをほどいた女の子は、怪異を神様だと思い、お願いごとをかなえてほしいと頼みます。ですが怪異は「そのように呼ぶ者もおるな」と肯定も否定もせず、ただアドバイスを与え、ラブレターを持ち去った動物を彼女に託し……女の子はいつの間にやら現世へと戻っていました。
女の子の手に残っていたのはラブレター、そして「大吉」と書かれたおみくじ……。それを見た彼女は髪の毛を結んで気合を入れ直し、怪異からのアドバイス通りラブレターをポケットにしまい……大好きなあの人へ直接「自分の一番の気持ち」を伝えるのでした。
この漫画の作者は漫画家の前屋 進(@no33no)さん。前屋さんは“メイドさんが食べるだけを見てるだけ”の、非日常なメイドさんが過ごすほのぼの日常漫画『メイドさんは食べるだけ』を手掛けており、現在第3巻が発売中です。
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