乗り降りする乗客を気にかけることなく、上り下りを続ける循環式エレベーター「パーテルノステル」が、市役所に設置されたスリル満点なアトラクションゲームのようです。
「パーテルノステル」は扉が付いていない古い形式のエレベーター。乗車用カゴが常に動き続けていて、人が乗り降りするタイミングに合わせて止まることはありません。人に合わせて機械が停止するのではなく、機械の動きに人が合わせて利用するタイプのエレベーターです。
チェコ在住の佐藤直紀(@fuesou)さんが近所の役所にある「パーテルノステル」を記録した映像では、向かって左は下り、右は上りとなっています。
佐藤さんの友人が投稿したYouTube動画では、実際に利用する様子を公開しています。進みたい方のカゴへタイミングよく飛び乗り、壁に次のフロアを予告する「3. PATRO(日本でいう4階)」とボードが張り付いているので、予告ボードを頼りにしてタイミングよくカゴから降ります。映像を見る限りだと乗り降りできるタイミングは、わずか2秒か3秒程度のように見えます。ちなみに循環式エレベーターのカゴは常に回転しています。降り損ねた場合は最後まで進むと、上り方向は下り方向に、下り方向は上り方向に変わる仕組みのようです。
実際に利用したことがある佐藤さんに、「パーテルノステル」の詳細を聞きました。
―― 「パーテルノステル」の撮影場所を詳しく教えてください。
佐藤さん:撮影した場所は、チェコ共和国中央部に位置するフラデツ・クラーロヴェーという町の市役所です。滞在許可証を申請するために外国人局を訪れた際に、私が撮影したものです。
―― パーテルノステルの乗り方のコツがあれば教えてください。
佐藤さん:僕も運動音痴なのでコツなどお教えできませんが、あえていえば、勇気を持つこと、マリオのようにタイミングよくダッシュ、ジャンプして乗ることです。覚悟を決めて次の箱に乗るぞ! と思ったら、すでに誰か入っていることもあります。慣れるとスムーズに乗れるそうです。
―― 市役所以外でもこのタイプのエレベーターを見掛けたことはありますか?
佐藤さん:このタイプのエレベーターはヨーロッパにはまだまだあるそうです。コロナ禍が落ち着いてヨーロッパにお越しの際には、ぜひ乗ってみてください、と言いたいところですが、僕がこのタイプのエレベーターを見かけたのは役場などの施設で、観光客の方はちょっと入りづらい場所でした。現地に知り合いがいれば案内してもらうほうが良いかもしれません。
もしプラハを訪れた際にはこのエレベーターだけでなく、私の所属するチェコフィルハーモニーというオーケストラの演奏会にもぜひお越しください。
コツについて「マリオのようにタイミングよくダッシュ、ジャンプして乗る」とのことで、現地に住んでいる人からするとゲーム感覚で楽しむアトラクションのようなのかもしれません。乗ろうとしたタイミングで先客がいて、乗れずに見送る話は現地で体験しているからこそ味えるアクシデントです。
「パーテルノステル」はチェコのプラハだけでなく、ヨーロッパでも探すと見つけられるそうで、海外旅行をした際にはチェックしてみたいところです。チェコのオーケストラ奏者として従事する佐藤さんならではの実体験でした。
画像提供:佐藤直紀(@fuesou)さん
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