イラストレーターのミカヅキユミ(@mikazuki_yumi)さんは、生まれたときから耳が聞こえません。そんなミカヅキさんが息子の授業参観に行くと、子どもたちは興味津々。いろんな方法でミカヅキさんとコミュニケーションを取ろうとします。その出来事をつづった漫画が、SNSで反響を呼んでいます。
ミカヅキさんは授業参観前の昼休み、息子のちどりくんの教室に一番乗りで到着しました。名簿でちどりくんのお母さんだと知った子どもたちは、周りに集まり、次々と話しかけてきます。
ミカヅキさんは、子どもたちに「耳が聴こえないので 紙に書くか 手話か 口を見せてお話して下さい」と伝えました。するとクラスのボスっぽい勝気そうな女の子が近づいてきます。「いつから聴こえないの?」「どうして聴こえなくなったの?」などたくさんの質問に、ミカヅキさんは快く答えます。
その後、ボスちゃんはグランドで遊んでいたちどりくんを連れてきて、手話で好きな色を聞くように頼みます。ちどりくんは気が進まない表情で、みかづきさんはドキドキしながら見守ります。ボスちゃんは「やってよ!」と強い口調で言ったり、「お願い」と頼み込んだりと、なかなかあきらめません。
ちどりくんは首を横に振ったり傾げたり。どうやら手話での通訳を断っているようでした。自分の意思で決定し、行動することを喜ぶミカヅキさん。しかし、なぜ断ったのかはわかりませんでした。手話をあきらめたボスちゃんとは、その後は筆談で会話を楽しみました。
帰宅後、ちどりくんはミカヅキさんに「色」って手話でどうやるのと聞きました。手話の通訳を断ったのは、手話で「色」をどう表すのかわからなかったからなのです。クラスの人気者状態だったお母さんの通訳を頼まれたのはうれしかったとのこと。嫌がっていたとばかり思っていたミカヅキさんは、意外に思いました。ボスちゃんとのやり取りを口出しせず見守ってくれてよかった、ともちどりくんは話します。
ミカヅキさんは、2人がやり取りしているとき、ドキドキした理由を振り返りました。親が聞こえないせいで、ちどりくんがイヤな思いをしないか心配だったからです。それは子どものためのようで、結局は自分が傷つきたくないからではないか。自分とちどりくんの感情は別物だから、イヤかそうでないかは本人が判断すること。
ミカヅキさんは、「もっと子どもを信じていい」という結論に至ります。授業参観がきっかけとなり、親子で頭の中を見せっこするように、お互いをより理解し合えたように感じたミカヅキさんでした。
漫画にはさまざまな反響がありました。「良い話だった」「子どもたちへの目線がとても優しくて、朝から何度も読み返してる」という声があり、ミカヅキさんと子どもたちとのあたたかなやり取りで、ほっこりした人が多いことが分かります。「新しい扉に触れた気持ちに」「凄く参考になる、勉強になる」といったコメントも。この漫画は、聞こえない人の感覚を理解するとっかかりになっているともいえるでしょう。
また「コミュニケーションの方法はいろいろあるけど、どの手段でも『相手のことを思いやりながら』が大事」「親子でもお互い違う人間同士」との声もあり、聞こえるかどうかにかかわらず、互いを知ろうとするコミュニケーションのあり方や、親子でも別の意思を持った人間として尊重するいった普遍的なメッセージを読み取った人もいました。
小3男の子、年中さんの女の子を育てるミカヅキさん。聞こえる子どもたちとのエピソードや、聞こえないミカヅキさんの日常を漫画に描き投稿しています。Web版レタスクラブで漫画「聴こえないわたし 母になる」が連載中です。
作品提供:ミカヅキユミ(@mikazuki_yumi)さん
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