不時着したエイリアンをお世話→おばあちゃん「ずっといてもらってもいいのに……」 熊本県・阿蘇の観光PR動画がシュールだけど心温まる
だんだんかわいく見えてくるエイリアンと、やさしい住民たちの交流。
熊本県は10月1日、同県・阿蘇エリアの新作観光PR動画をYouTubeで公開しました。そのタイトルは『阿蘇の不時着』――えっ、エイリアンが実写で映ってる⁉
物語の始まりは、阿蘇山の火口付近にひとりのエイリアンが不時着してしまうところから始まります。宇宙船が故障してしまい途方に暮れていたエイリアンですが、“嘘”みたいにおいしい料理や美しい自然、そして住民たちのやさしさに触れていくうち、“阿蘇”という土地に魅了されていきます。しかし宇宙船の修理が完了すると、心温まる交流の日々も終わりを迎えることとなってしまい……。
一見「どう見てもフィクションだろ!」とツッコみたくなるシュールなビジュアルですが、気がつけば見入ってしまい、観終わった後には切なさも感じるこちらの動画。Twitter上では、阿蘇の自然に思いを馳せた人々の「ゆっくり帰省したいなぁ」「阿蘇の緑と熊本弁が心に響く」といったツイートのほか、映像のクオリティに驚いた人の「これ映画化いけるで…!」といったツイートも見られました。
宇宙船が不時着したのは、 阿蘇中岳火口近くに広がる「砂千里ヶ浜」。阿蘇山の火山灰とごつごつした岩肌があたり一面を覆っていて、まるで地球ではない惑星のような景色が広がっています。
ここはどこの惑星なのか、生命体はいるのか……歩き回っていたエイリアンに話しかけてきたのは、馬を連れた地元のおじいちゃんでした!
宇宙船の修理が終わるまで、この星を離れることはできないと話すエイリアン。おじいちゃんは「そんならしばらく、うちさん居ると良か」と言ってくれるのでした。
そしておばあちゃんが温かいお茶と一緒に出してくれたのは、熊本のさつまいもを使った郷土菓子「いきなり団子」。どこか懐かしさを感じる素朴な雰囲気と、おもてなしのやさしい心が沁みる……。
こうして、阿蘇でのいそうろう生活を始めたエイリアン。畑仕事を手伝って採れたての野菜を食べたり、アドベンチャートラックで阿蘇の大草原を駆け巡ったり、鍋ヶ滝の神秘的な景色に癒されたりと阿蘇の名所・名物を満喫している様子が楽しそうです。
美しい自然と人々の温かさに触れ、エイリアンはどんどん“ASO”のことを好きになっていきます。
さらにエイリアンは、熊本市内と阿蘇を結ぶ「新阿蘇大橋」にまつわるエピソードをおじいちゃんから教えてもらいます。新阿蘇大橋は、2016年に発生した熊本地震で崩落してしまった阿蘇大橋に代わって建設された新しい橋で、「阿蘇の人たちにとって、熊本地震からの復興のシンボル」とも言える大切な橋なのだというのです。
「今は大丈夫なのか?」とたずねるエイリアンに、おじいちゃんはうなずきます。「大丈夫、阿蘇には元気な人がいっぱい居るけん」「その元気な姿ば見て、わしも元気になる」――そんなおじいちゃんの言葉に阿蘇の人々の明るい姿を重ねて、エイリアンは“ASO”の住民の力強さを感じるのでした。
3か月後、故障していた宇宙船の修理がついに完了し、エイリアンの帰還準備が整います。それは同時に、阿蘇での生活が終わりを迎えるということでもあり……。
別れを告げるため、おじいちゃんとおばあちゃんの住む家へ向かうエイリアン。玄関から入ろうとしたとき、二人の話す声がふと聞こえてきてしまいます。
「あん子さえよかったら、ずっとここさん居ってもろてよかばってんね」
「なんば言いよっと。あん人にも故郷(ふるさと)があっとったい」「引き留めてもしょんなかろ」
思いがけず聞いてしまった、おじいちゃんとおばあちゃんの本当の気持ち。エイリアンは家に入っていくことができず、その場を走り去ってしまうのでした。
離陸の準備が整い、ついに帰還のときを迎えたエイリアン。阿蘇での楽しい日々や、思い出の数々が頭の中をめぐります。本当に、別れを告げないまま去ってしまって良かったのでしょうか?
一緒に過ごしてきたエイリアンが突然姿を消してしまい、おじいちゃんとおばあちゃんはとても落ち込んでいる様子です。そんなとき、テレビから緊急ニュースのお知らせが聞こえてきます。
「たった今入ったニュースです。阿蘇に謎のミステリーサークルが現れました」――ニュースの映像を見て、おじいちゃんとおばあちゃんはすぐに気づきます。別れの言葉を直接言うことができなかったエイリアンは、感謝の気持ちをミステリーサークルとして残していったのでした!
この動画は、阿蘇エリアの魅力と熊本地震からの復興をPRする「阿蘇観光プロモーション “I'm fine! ASO”」の一環として制作されたもの。 “I'm fine! ASO”というフレーズには「阿蘇はもう元気です。そんな阿蘇に遊びに来てください」というメッセージが込められています。動画内でエイリアンが最後に描いていたミステリーサークルは、この“I'm fine! ASO”プロモーション企画のロゴデザインとなっています。
阿蘇郡西原村では、この動画公開に合わせて、同じデザインの巨大ミステリーサークルが期間限定で出現しています。
さらに動画を最後まで視聴すると、ちょっと意外なエイリアンの素顔も見ることができます! 不思議と応援したくなるユーモラスな姿を演じていたのは、熊本県出身でモデルの上妻美咲さんでした。
エイリアンをも魅了する「USO(嘘) みたいに楽しくて元気なASO(阿蘇)」をコンセプトに作られたというこの動画。UFOとエイリアンという一見突拍子なく思える題材を扱った理由の一つには、「エイリアソ」という裏テーマもあったのだそう……ってそこもダジャレかよ! 思わずずっこけそうになってしまいますが、それほど熱い“アソ愛”がこめられた動画だったんですね。
ダイナミックな火口跡から緑の大草原、動物たちと人間がのどかに暮らしている姿など、動画内では阿蘇の魅力的な風景がたくさん登場しました。そして何より、エイリアンすらも迎え入れてくれる住民たちのやさしさがじんわり沁みるストーリーが印象的です。
物語のあとには「もちろん、この物語はフィクションです」「ですが、嘘みたいに綺麗な景色や、嘘みたいに明るい人々は、間違いなく本当です」というテロップが流れます。
旅行や遠出が難しくなっている昨今の時勢ですが、いつかはこの“嘘みたいに”すてきな場所――阿蘇へ本当に行ってみたい! そんな気持ちにさせてくれる、シュールなのに心温まる観光PR動画に仕上がっていました。
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提供:公益社団法人熊本県観光連盟
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2021年10月14日