今でこそ、さまざまな役を演じる俳優へと成長した畑さん。子役時代との変化についてこう語ります。
「子役時代はやらされていた感じ。嫌な意味ではなく、そのときも楽しんでお仕事させていただいていましたが、渡された台本を覚えて、現場に行って、終わりでした。今ではもっと台本を読み込むようになりましたし、年々、お芝居が好きになっています。子役時代とは全然違うかな。ずっと続けるお仕事でありたいと思っているので、いろんな人と話して、この業界だったり、お仕事だったりを知るために努力するようになりました」
最近では、「プロミス・シンデレラ」で山ノ井さくら役として出演。「本当に純粋な女の子」と称するさくらちゃんを演じる上で気をつけたことは“いやらしくならないこと”。
「山ノ井さくらちゃんは本当に純粋な女の子。言い方悪いですが、私は長いことお仕事をしている中で“純粋”というものはもう失っているかもしれないと思いつつあるのですが……。さくらちゃんは純粋で、ピュアで、それでいて優しくて穏やか。どの作品をやるにしてもそうですが、自分にない部分を演じるときがすごく楽しい。研究しがいがあります。原作を勉強しながら、さくらちゃんの純粋でピュアで可愛いところをどう演じようかとたくさん悩みながら演じさせていただいています」
「演じる上で気をつけたことは、いやらしくならないこと。一応、二階堂ふみさん演じる桂木早梅の恋敵として、自分の気持ちにだけまっすぐ動く女の子なので、素直に飛び込んで演じるようにしています」
撮影現場では、二階堂さんからかけられた言葉が畑さんにとって大切な学びとなったことも。
「感動したアドバイスは、二階堂ふみさんから『もっと自由でいていいと思うよ』と言っていただいたこと。小さいころから仕事をしていることもあって、縛られて緊張して固まっちゃうことが多いんです。猫被ったり、よく見せようという姿勢になってしまうのですが、『もっと自由でいいと思う』と言われて、心を打たれたというか、素敵なアドバイスをいただいたなと思います」
芸歴18年の中で一番緊張した大河
畑さんにとって、大舞台となるであろう作品がNHK大河ドラマ「青天を衝け」への出演です。8月に発表された新キャストとして、田辺誠一さん演じる尾高惇忠の長女のゆうを演じます。キャスティングは、驚きが先行しました。
「大河出演を一言で表すと、『え!? 大河!?』です。うれしさよりも、最初に戸惑いと驚きがきて、徐々に大河に出演させていただけることの喜びだったり緊張感だったりいろんな感情が湧いてきたのですが、最初は『え!?』でした」
「初めてのリハーサルのときは、今までで一番緊張しました。リハーサル室に、大河に出演されていますキャストの方々がいるのですが、空気感がたまらなくすごくて、どうあいさつしようとか、どう乗り切ろうとか、いろいろなことを考えて、初めてのことに何もわからずソワソワしていました。最後は和んで終えることができたのですが、その日は一番緊張しました」
自分よりも年上の人たちと仕事をする機会が多かったであろう畑さん。プレッシャーを感じる場面ではどのように乗り越えてきたのか聞いたところ、どこか割り切った様子で答えました。
「よくプレッシャーに負けてしまうんですけど、どうにか役になりきってその場を乗り越えてしまうことが多いです。“どうにかなる精神”でやっています」
真剣に「辞めようかな、このお仕事」と思った
現在は、「ずっと続ける仕事でありたい」と自主的に俳優業を続けている畑さんですが、高校進学を前に“俳優以外の人生”を考える岐路に立たされたこともありました。
「高校に進学するとき、芸能コースの学校へ行くか、都立の学校に行くか迷った時期がありました。この先、このお仕事でやっていけるかという将来の不安に駆られる時期で、頭がモヤモヤしてどうしようもなかった。真剣に「辞めようかな、このお仕事」と考えました。そのときに、当時のマネジャーに相談したところ、「あなたのお芝居を観たい人はたくさんいる」と助言していただいて、引き止まりました。あのとき、引き止めてくださる方がいてよかったなと思いますし、今、お芝居をすごく楽しくやれているので感謝しかないです」
まだ中学生で人生の大きな選択をした畑さん。以降、芝居は自分にとってなくてはならない存在になります。
「どの役をやるにも課題が多いなというか、常に勉強勉強で、難しいですが、楽しいです。芝居は誇りに思っています。人様に見ていただくものなので自信を持ってやっています」
「今の仕事の目標は、また使いたいと思ってもらえる俳優になること。夢のステージは日本アカデミー賞で、いつかレッドカーペットを歩きたい。10年後には『畑芽育? 知ってるよ』と言われる俳優になっていたいです」
「私にとって役者は、夢であり、一生勉強し続けるものだと思います」
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撮影:こた
動画撮影:岩本新之助
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