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刑務所みたいなIT企業の漫画がクレイジーで怖い 「エンジニアは番号で呼ばれる」「会話には“せんせい”の許可が必要」(1/2 ページ)

本当っぽい話も少々交じっているのがまた怖い。

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 エンジニアが殺風景な大部屋に泊まり込みをさせられたり、管理職に番号で呼ばれたりと、まるで刑務所のようなIT開発現場を描く創作漫画が恐ろしいです。作者は漫画家の山田しいた(@yamada_theta)さん。

アイキャッチ1 「娑婆(しゃば)」とか「座布団(ポスト)」とか、別の特殊な業界でないと聞かない言葉が目白押しですが、IT企業の話です

 物語はIT企業を営む主人公が取材を受けて、数年前に出向したとんでもない現場を振り返る場面からスタート。ちなみに、その案件を引き受けた理由は「この業界(せかい)、親会社(おや)の言うことは絶対だから」。振り仮名のクセが強すぎて、もっと特殊な業界の話に聞こえます。

アイキャッチ2
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 住み込みとなった客先での生活はというと、6時に起床し20分間で身支度。6時半の朝礼から2?時(1の位がぼかされていて識別できないが、なんとなく8に見える)まで、管理職の監視下で開発に取り組む毎日でした。刑務作業でもそんなに長くやらんだろ。

アイキャッチ4

 納期まで時間がないからと寝食まで管理され、作業員の名前を覚えられない管理職には番号で呼ばれるなど、人権の概念がなさすぎるエピソードに聞き手はドン引き。さすがにこのエピソードは使えないため、主人公の会社は求人サイトで「社員の人権を大切にし、ちゃんとみんな名前で呼び合う働きやすい職場」として紹介されたのでした。「働きやすい」の基準が低すぎるよ!

 作者の山田さんはその後、人権意識が低すぎる現場の詳細を描いた続編を公開。大部屋への入居日に主人公が「手前生国発しますところRuby発祥の地島根――」と仁義を切ったり、「交談願います」と管理職(せんせい)に許可をとらないと会話もできない環境で、仕様書もなしにプログラムの修正を命じられたりと、むちゃくちゃな日々を送る様子を描いています。

※「交談(会話)」も「せんせい(刑務官の呼び方)」も刑務作業現場で用いられる言葉

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 ただ、刑務所のような現場も当然おかしいですが、妙に順応している主人公もかなり異常です。時代がかったあいさつをされて「ここはただのIT開発施設だよ?」と戸惑う大部屋の同輩も、置かれた環境の異常さに気付いていないですし、登場人物全員が狂っている気すらします。

 「どこのプリズンなんだ」「刑務所のほうがよっぽどホワイトだよ」と笑いを呼んだこの漫画。あくまでも作り話……のはずなのですが、「誇張されてはいるがだいたい合ってる」「10〜20年前の現場は本当にこんな感じ」「昔、窓のない部屋に大人数で押し込められて作業してた現場があった」といった反応も少なからずあり、多少の事実も含まれていると想像すると背筋が寒くなります。

 山田しいたさんはこの「ITおじさん」シリーズの電子書籍化を予定。また、『グランドジャンプむちゃ』にて、新連載「万能会社員菅田くん」を準備中とのことです。

作品提供:山田しいた(@yamada_theta)さん

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