「アオアシ」などで知られる漫画家の小林有吾さんが、バーテンダーでアルバイトをしていたときの出来事を描いたエッセイ漫画が「感動した」と反響を呼んでいます。
漫画家になる前、ホテルでバーテンダーのアルバイトをしていた小林さん。ある日バーに、夫婦で旅行にやってきた男性が訪れます。接客するうちに、男性は娘を亡くしたことを話し始めます。
娘さんは若くして体が動かなくなる難病にかかり、奥さんがつきっきりで看病していました。奥さんは気丈に振る舞っていたものの、火葬場での最後の別れで張り詰めていた気持ちが切れてしまい、それから立ち直れずにいるそうです。せっかく旅行に来ても奥さんは疲れた様子で、部屋で休んでいるのだといいます。
話を聞いた小林さんは、バーテンダーらしく何かできることはないかと考えます。出てきたのは、会計を半額にするという言葉でした。急な申し出に戸惑う男性。理由を聞かれた小林さんは迷った末に「娘さんが払っていかれました」と告げました。
内心では「マンガみたいなことを実行するのは人を傷つけるかもしれない」と恐れていた小林さん。しかし、それを聞いた男性は、崩れ落ちるように泣き出したのです。
そして次の晩、男性は奥さんを伴ってバーにやってきました。小林さんは他の客の対応もあり、ほとんど話はできなかったそうですが、バーにいる間、2人は仲良く穏やかに笑っていたのでした。
人生のとても苦しい時に受けた優しさ。きっとご夫妻にはこれ以上ないほど、温かいものだったのでしょう。この漫画を読んだ人からは「この一言を勇気を出して言えたのが凄い」「いいお話をありがとうございました」といった感動の声が集まっています。
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