耳の聴こえないママさんが、息子君に筆談の邪魔をされた思い出をTwitterで公開し、4000件以上の「いいね」が寄せられるなど関心を集めています。
この漫画を描いたのは、イラストレーターのミカヅキユミ(@mikazuki_yumi)さん。現在小学3年生の息子「ちどり」君が6歳のころの思い出です。
ちどり君の通院のため、当時2歳の「かのこ」ちゃんと3人で病院を訪れたミカヅキさん。スタッフが差し出した紙に、次回予約の希望日を記入します。
それを見ていたちどり君が後ろから寄ってきて、ボールペンの押しボタンをポチリ。筆談の邪魔をするイタズラです。
何度注意してもイタズラをやめないちどり君。ミカヅキさんは自分の声である「文字」を書くことを妨害されて、怒りがこみ上げてきます。
その場で叱りたい気持ちはあるけれど、ここで叱ったところで自分の言葉が届かないと考えたミカヅキさん。ちどり君を押さえつけながら、予約のための筆談を続けます。
病院を出てから、ちどり君に話し掛けるミカヅキさん。イタズラをした理由、「やめて」と言ってもやめなかった理由をたずねました。
「面白そうだったから」「楽しくてやめられなかったの」と笑いながら答えたちどり君に、自分が嫌だったことを伝え「私の声を取るな!」と気持ちをぶつけたミカヅキさん。病院の待ち時間が長くて暇だったことは認めつつ、誰のために予約をしていたのかを思い出させます。
続いて「同じことを自分がされたらどう?」と聞いて、ちどり君に相手の気持ちを想像させたミカヅキさん。紙とペンは自分に取って声を出す手段の1つであることをあらためて伝えると、ちどり君が分かってくれたという手応えを感じたのでした。
その時ミカヅキさんが思い出したのは、ちどり君が赤ちゃんだったころのことでした。熱が出たちどり君を病院に連れて行き、自分が聴こえないことや、ちどり君の症状などを書いたメモを差し出したところ、スタッフさんが聴こえている旦那さんに向かって話し出したことがあったのです。
その方が楽なのは分かるけれど、悔しい気持ちだったというミカヅキさん。自分の「声」を受け取ってもらえなかったと感じたのです。そしてそれは、ミカヅキさんにとって日常茶飯事なのだとか。
そんなこともあり、筆談でやりとりができると「お母さんとして見てもらえてる!」という気持ちになるというミカヅキさん。ミカヅキさんの「声」には、いろんな形の「だいじ」が詰まっているのです。
投稿のリプライ欄には「感情にまかせてその場で怒らないって、簡単にできるようだけど実はとっても難しいこと」「きちんと理解できる形で説明して気持ちを分かってもらうって本当に大事ですよね」といった声が。アルバイト先で筆談を経験したという人からは「文字って人間が作った素晴らしい文明の1つだと感じました」というコメントが寄せられました。
ちなみに、ミカヅキさんとちどり君のコミュニケーションは、口を見て話したり、手話をしたり、筆談を用いたりするとのこと。ちどり君も3年生になり、「今の息子となら、また深みのある話ができそうな気がしています」とつづっています。
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