でろーんと溶けたりんごがTwitterで衝撃を与えています。何がどうしてそうなった!?
投稿者はアーティストの雨宮庸介さん(@YosukeAmemiya)。りんごが、熱で溶けたスライムのように、どろっと液体化しています。そんなことにはならないはずなのに、あまりにも見た目がりんごらしいので、頭が混乱してしまいます。
このりんごは木で作られた彫刻作品です。小刀一本で成形されたのち、白い下地を36回塗り、その後ようやく油絵具で着色されます。目に見えない点も含めて、ひとつのりんごに10万以上の点が打たれています。絵画と似た手法で制作しており、着色には油絵具を使っています。
作者の雨宮さんは、作品についてこう語っています。
もちろん実際に溶けているリンゴは存在しません。ですのでりんごが溶けていることは、「このリンゴは本物じゃないんです」と大声で打ち明けているようなものです。
しかし同時にそんな溶けたリンゴに「りんごらしさ」を、本物以上に彫刻に実装させていくことにより「認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込む」ような状態を作りだします。いわば、ドライビングテクニックの「ヒールアンドトゥー」みたいなものです。
結果的に、静止した彫刻にもかかわらず、みる人の心を揺さぶり、この世界の「確からしさ」についておもいをはせられる装置となることを願っています。
雨宮さんは日本の美術大学を卒業後、オランダの美大を修了。数々の個展を開催するアーティストです。Twitterを追いかけていくと「溶けたりんご」ができていくまでをうかがい見ることができます。
作品提供:雨宮庸介 Yosuke Amemiya(@YosukeAmemiya)さん
(高橋ホイコ)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.