飼育放棄された猫ちゃんが、家猫になり安心してくつろぐまでの記録がYouTubeに投稿され、61万回再生を突破しています(3月9日時点)。動画には「涙腺が弱くて涙が止まらない」「保護していただきほんとうにありがとうございます」などのコメントが寄せられています。
動画を投稿したのは、地域猫を見守りつつ、精力的に猫の保護活動をしているご夫婦。ある日、台風の接近前に顔見知りの地域猫さんの様子を見に行くと、ガリガリに痩せている長毛猫さんを発見しました。
以前から地域猫として生活していた子で、ご近所では「しょう」ちゃんと呼ばれていました。しょうちゃんはもともと飼い猫でしたが飼育放棄されたらしく、年齢は約12歳。ご近所の善意と餌やりボランティアからのごはんで暮らしていたんだそうです。
家猫だったことと、野良猫になってからも人の愛情を受けているからかフレンドリーで、ご夫婦が近づくとニャーニャーと甘えた声で鳴き、なでなでもさせてくれる人懐っこい性格です。ボランティアさんによると、しょうちゃんは食欲はありつつも最近痩せてきたそうで、足にも力が入らずなでるとよろめいてしまうとのこと。そんな姿を見たご夫婦は病気の可能性も心配し、「この子を保護してあげたい」という気持ちになったそうです。
ご夫婦は保護後、すぐ動物病院へ行き、血液検査やワクチンなど一通りの検査を実施。異常は見つかりませんでしたが、年齢的なこともあり腎臓が悪く、ステージ1から2の間との診断結果が出ました。
その後帰宅してしょうちゃんをケージに入れ、ごはんやちゅ〜るをあげましたが食べず、不安そうな声も鳴きやみません。外ではフレンドリーだったしょうちゃんも、不安を隠しきれず震えていたようです。
飼い主さんは「私たちにとっては保護ですが、しょうちゃんにとってはさらわれて閉じ込められた状態で不信感しかなかったと思います。この日もたくさん検査をされて急に捕まえられて怖かったと思います。そんな思いも今日で最後にしてあげたい」と語っていました。
その後保護して3日目には、もりもりとお皿に入ったごはんを食べてくれるように。さらに、ケージに手を入れると頭でスリスリ。「おいで」と呼ぶと寄ってきてくれるようになりました。そして毛並みもよくなって少し肉がつき、猫じゃらしで元気に遊ぶように! 抱っこもさせてくれるようになったのです。
飼い主さんの自宅には、元保護猫のサバトラ「まめた」くん9歳、元地域猫「こあら」くん2歳の先住猫が暮らしています。そして、しょうちゃんより1日遅れでやってきた、元捨て猫の「ボルト」くん約10歳も家族になりました。
最初は恐る恐るの初対面だったしょうちゃんとこあらくんですが、すぐに鼻チューでごあいさつ。ボルトくんもしょうちゃんのことが大好きになり、くっつこうとして激突してしまうこともあるそうです。そして1カ月後には、まめたくんとも仲良く寄り添う姿が。地域猫たちとはうまくいっていませんでしたが、同居猫ちゃんたちとはすぐに打ち解けることができました。
新しいお家に慣れてきたしょうちゃん、今では自らベッドにきてゴロンと甘えるようになり、もう何年もお家にいたかのようにくつろいでくれるんだとか。飼い主さんが話しかけるとお返事もしてくれて、現在は猫きょうだいの中で一番の甘えん坊なんだそうですよ。
実はその後しょうちゃんの後ろ足の変化が気になった飼い主さんが動物病院に連れて行ったところ、“変形性脊椎症”と診断されたとのこと。これは老齢により腰が曲がる症状で痛みもあるため、しょうちゃんはサプリで症状を緩和しながら生活していくことになったそうです。
獣医師には「平面的な生活を」と言われたものの、猫の習性上高い所に登りたがってしまうので、飼い主さんは爪とぎを使って簡易的なスロープを作成。しょうちゃんは楽しそうに登ってくれるそうで、今度は本格的なスロープを作成する予定だそうです。
今では家猫として、地域猫活動をする飼い主さん夫婦を見送ってくれるようになったしょうちゃん。飼い主さんは「鳴いて甘えてくるしょうちゃんを見ると、保護して本当に良かったと思います。しょうちゃんに出会えて本当に幸せです」と話しています。きっと、しょうちゃんも大きな安心感と幸せを感じているのではないでしょうか。
飼い主さんのYouTubeチャンネル「すべての野良猫にちゅ〜るを (初老夫婦の猫支援)」では、猫きょうだいたちを保護したときの様子や、しょうちゃんの日常ものぞくことができます。また、猫の保護活動のためにすべちゅ〜メンバーシップも募集中です。地域猫たちに目を向けるきっかけになるかもしれません。
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