バルコニー付きの部屋が魅力の「クラブ」棟
4つめの「クラブ」棟は、もともと任天堂の倉庫だった建物。1階には宿泊客向けのレストラン(なので、レストランのみの利用は現在のところ不可能です)である「carta.」が入っており、2階から上が客室となっています。「任天堂の倉庫」と言われて想像する建物としてはちょっと小さい気がしたんですが、そもそもこの建物で仕事をしていた当時の任天堂の売り物って花札とかだから、多分商品自体がそんなに大きくないんですよね。なるほど、だからこのくらいの倉庫でも機能してたし、荷物を運ぶためのエレベーターが妙に小さいのね……と勝手に納得。
この棟の3階に用意されているのが、バルコニースイート。倉庫棟についていたバルコニーをそのまま利用した客室で、東山を一望できる見晴らしの良さが魅力です。室内にあるソファや扉は、もともと倉庫にあったものをそのまま利用。往時の任天堂で使われていた調度品を、宿泊すればそのまま使うことができます。
このホテルに泊まるためだけに京都行くのもアリ
以上のように、4棟それぞれに異なる持ち味のある丸福樓。なんせ建物が古いので、現代的なホテルの快適さとはちょっと趣の異なる部分もあります。特に新築棟以外はエレベーターがなく、昔の建物特有の幅が狭めで急な階段のみで上下の移動をしなくてはならないのは、微妙にしんどいところがあるかも。
が、それをわかった上でも、このホテルに泊まるのはバリューのある体験なのかも……と思ったのも事実。なんせこれだけぜいたくな昭和初期の建物の中に入ること自体が珍しく、しかもそこに宿泊できるというのは相当貴重な体験です。実用的な雰囲気の漂う「スペード」棟や「クラブ」棟、そして当時のモダンなデザインがパンパンに詰め込まれている「ハート」棟と、建物によって味付けがかなり違うので、そのあたりをじっくり見られるのは眼福。いたるところに凝ったデザインが詰め込まれたディテールを観察するもよし、レトロな雰囲気に浸るもよし、泊まる人によっていくらでも楽しめる部分があるな……と思った次第です。京都なので周囲は観光地だらけですが、とにかく見所が多いので「このホテルに泊まる」という目的のためだけに訪れる価値があります。
運営が任天堂ではないので「おなじみのキャラクターが大集合!」みたいな要素もないですし、ゲーム関係の展示も控えめですが、任天堂創業家の建物なのは間違いなし。そこに泊まれるというのは、ゲームファン的にもアツいはず。どの部屋も一泊10万越えなので、正直お安くはない。ですが、一度泊まれば「任天堂の本社に泊まったんだぜ〜」と一生自慢できますし、何かのタイミングで泊まってみるのもかなりアリだな……というホテルでありました。
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