露フィギュアスケートのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手が4月10日にInstagramを更新。「スポーツと政治は別物と信じていた」と複雑な心境をつづっています。
トゥクタミシェワ選手はロシア語で「スポーツと政治は別のものだと心から信じたかったけれど、今日それが覆されてしまった」と落胆を投稿。「スケートを愛しています」と競技への愛を強調しながら「大会に出たい。スケートがしたい。新しいプログラムを試したい。アイスショーに出たい」とロシア軍のウクライナ侵攻に伴う度重なる制裁により、競技や活動が制限されている現状を嘆いています。
「アスリートのパフォーマンスが人心操作の手段にしてほしくない」と“混乱”を訴えたトゥクタミシェワ選手は同日、元世界王者エフゲニー・プルシェンコが主催するアイスショー「The Union of Champions」に出演。現地報道によればチケットには軍への支持を示すZのデザインが組み込まれ、会場にはロシア兵への手紙を書くコーナーまで設けられていたといい、トゥクタミシェワの投稿はこれらの状況へ異を唱える内容と目されています。
この投稿に「声を上げてくれてありがとう」「私たちはあなたの味方」との声が寄せられる一方で、ロシア語でトゥクタミシェワ選手を非難するコメントも投稿されています。
同アイスショーは、16日にもプルシェンコが拠点とするペテルブルクでの公演を予定していて、プルシェンコ本人や長男に加え、五輪メダリストらの出演が予定されています。五輪や世界選手権を制した経歴を持つプルシェンコは“皇帝”とも称され、ロシア国内では大きな影響力を持つ人物。3月に同国アスリートへの制裁が科されるといち早く声を上げ、繰り返し「ロシア人への差別反対」を訴えてきました(関連記事)。
一方、“リーザ”や“女帝(エンプレス)”といった愛称で親しまれるトゥクタミシェワ選手は、2014−2015シーズンにGPファイナルと世界選手権で優勝。また次々とチャンピオンを送り出しながらも、北京オリンピック期間中にはドーピング疑惑で話題となったエテリ・トゥトベリーゼ門下ではなく、若手が次々と出てきてはトップが入れ替わる近年のロシア女子選手では珍しく、25歳となる現在も第一線で現役を続ける選手として知られています。
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