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日本シナリオ作家協会が「脚本契約7原則」を宣言 脚本家の待遇改善のため、映像業界に順守を求める(1/2 ページ)

よりよい作品を作り続けるために。

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 日本シナリオ作家協会は7月4日、脚本家が契約を結ぶ際の「脚本契約7原則」を宣言しました。脚本家の権利保護や待遇改善のため、映像業界に7原則の順守を求めています。

 日本シナリオ作家協会は、シナリオの著作権擁護や、シナリオを起点とした文化の発信、シナリオ作家の育成および表彰、日本の映像文化および映像産業発展への寄与などを行う組織。

 「脚本契約7原則」は6月17日開催の通常総会で、全会員の総意とすることが決議されたもの。「オリジナル」の脚本や企画を執筆する際の扱いや、最低限守られるべき意識の向上、脚本家の権利の保護、待遇の改善をはかることを目的とした原則です。7原則は以下の通り。

【原則その1】 「オリジナル企画」および「オリジナル脚本」の脚本家は、原作者として尊重されなければならない。

【原則その2】 「オリジナル企画」および「オリジナル脚本」が映像化に至らなかった際は、特段の取り決めがある場合を除き、いかなる場合も著作者である脚本家が任意に利用できなければならない。

【原則その3】 企画開発費と脚本料を一元化してはならず、企画段階の企画書・プロット執筆、脚本執筆には、別途ギャランティが支払われなければならない。

【原則その4】 脚本料は受注時に取り決め、長期間に及ぶ脚本執筆の場合は随時支払われるものとし、決定稿を提出した後、速やかに支払いが完了されなければならない。

【原則その5】 企画開発および脚本執筆のために必要とする取材費、資料費、交通費その他の実費については、発注者が負担しなければならない。

【原則その6】 氏名表示に関して著作権法第19条の規定を順守し、宣伝・広告活動の際にも配慮されなければならない。

【原則その7】 著作権法第20条の規定を順守し、脚本家に無断で脚本を改訂してはならない。

 日本シナリオ作家協会は、この原則を宣言した背景について、「現在、脚本家を取り巻く状況は危機的状況に陥っております」とした上で、「映像の根幹は脚本であることは言うまでもございませんが、脚本家の権利が制限され、執筆環境が整いにくい状況がこのまま続けば、いずれ脚本家の才能が枯渇し、映像業界そのものも先細りしていくことは明らかです」とコメント。

 最後に「業界全体でよりよい作品を作り続けるために、広く映像業界の皆様にも、この脚本契約7原則の順守にご協力とご理解を賜りたくお願い申し上げます」と呼びかけています。

 ネットではこの原則について「『まあ、いいじゃん』とか『ごめんねー、うっかり』とか、なし崩しで進む業界の慣習に、勘弁してくださいね、という表明」「めちゃくちゃ大事なこと。脚本家さんの立場が守られてこそいい作品が世に生まれると思うので、どうか守られてほしいです」といった声が寄せられています。

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