子どもがロッカーで座りたがって大変 → 保育士「座ってもいいロッカー」はどうか? 考案した先生に話を聞いた(1/2 ページ)
「子どもたちの『やりたい!』という興味・関心を本来は邪魔したくない」と語ります。
ロッカーに入りたがる児童を注意するのが大変──。そんな保育士の悩みに応える、座れることを前提とした「座ってもいいロッカー」のアイデアがTwitterで注目を集めています。
現役保育士にして、保育園の監修や育児アドバイザーを務めるてぃ先生(@_HappyBoy)さんが、製品化に向けて企画を進めているロッカー。カバンや園服をかけられる縦長のスペースに、小さい子どもが入ったり座ったりできます。
座ってもいいロッカーは最初から子どもが入ることを前提に設計。座面を設けたり、身体に引っかからないようフックを可動式にしたりと、工夫が施されています。
アイデアは「子どもの好奇心を許容した理想のものづくり」「ケガのリスクも少なくて安心」などと好評です。似た形のロッカーを使用した保育士から、「わざとそこに座らせて人数確認して落ち着かせていた」といった経験談も寄せられました。
その一方で、「座ってもいいと教えられると、児童館などで困ることにならないか」「座ったらダメだから楽しいのでは」といった懸念もわずかに見られます。
てぃ先生「子どもたちの『やりたい!』を邪魔したくない」
編集部はてぃ先生さんに、企画の詳しい経緯を聞きました。
──「座ってもいいロッカー」考案のきっかけを教えてください。
てぃ先生:保育園でも、ご家庭でも、とにかく狭いところや隙間が好きなお子さんが多いです。保育園でお子さんが入りたがる場所と言えば、個人用のロッカーが代表格なのですが、当然人が入ることや座ることを想定した作りにはなっていません。中のフックも危険ですから、「入らないよ」「座っちゃいけないよ」と保育士の多くは注意することになります。
子どもたちの「やりたい!」という興味・関心を本来は邪魔したくないですし、保育士たちも本当はそんなことで毎回注意したいわけではありません。それらをまとめて解決するには「元から座ってもいい設計のロッカー」を作れば良いのでは? と思いつき、試作品の企画立案・制作を開始しました。偶然目にする機会があった、サッカースタジアムのロッカールームも参考にしています。
──座面やフックのほかにも、工夫されている点はありますか?
てぃ先生:「座ってもいい」というコンセプトは大事にしつつ、ロッカーとしての使いやすさも重視しています。座面を広くしすぎると、小さな子どもが奥の物を取りにくいといった支障がでますから、何度も保育園で行動調査をして微調整を続けています。
また、ロッカーに収納する引き出しのサイズは、汚れたり壊れたりしたときの買い替えの手軽さも考えて、入手しやすい市販品に合わせています。
──アイデアを評価する声だけではなく、「児童館などで困ることにならないか」「座ったらダメだから楽しいのでは」といった懸念の声もあります。
てぃ先生:子どもたちも大人と同様にいろんなことを考えながら生活して、日々学び、成長していますから、「ロッカーは全部座っていい」とはなりません。それぞれの場所、物に合わせて考えられます。「うちの保育園のロッカーは座ってもいいんだよ、いいでしょ!」と自慢してもらえるようなものに仕上げたいです。
商品化の時期は「早ければ今年中、遅くても来年」と、てぃ先生。乳幼児施設の家具や内装を手がける建材メーカー、ウッドワンとタッグで進めているとのことです。
画像提供・協力:てぃ先生(@_HappyBoy)さん
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